『夜明け告げるルーのうた』(湯浅政明)


 劇場公開時はスルーしていた本作、友人が面白かったと言っていたのでチェックしてみた。人魚伝説が伝わるさびれた田舎の港町が舞台。宅録少年カイと音楽が大好きな人魚の少女ルーの交流が、やがて町を揺るがす大騒動に発展して行く・・・というお話。これは湯浅監督からの宮崎監督(特に『ポニョ』)へ回答、みたいな映画だった。人魚の言動はまるっきりポニョ風だし、水没する町など映像的な共通点もある。どっちが良い悪いという話ではないけれど、『ポニョ』が「童話ってこうだろう」とばかりに端折っていた部分をきちんと描いてくれていたので、個人的には『ルー』の方が好きだったなあ。


 冒頭で主人公と級友がお喋りしながら学校への坂道を進んでいく(途中で町の人々と挨拶を交わす様子で登場人物たちの立ち位置が分かり、海を臨む町の風景も描かれる)あたりでもうこれはいいぞと思った。田舎の感覚が上手く描けていたし、アニメーションならではの動きの見せ場もあり、良い映画だと思う。既成曲(斉藤和義の『歌うたいのバラッド』)が感動的に使われているのも良かった。人間と人魚の共存というあたりもきちんと描かれている。一緒に見ていた娘(6歳)は人魚の父親や犬たちなど動きの面白さに魅せられていたようだった。娘は映画がかなり気に入ったようで、斉藤和義の曲を「いっしょに歌いたいから歌詞を書いて!」と言ってきた。


 個人的にはEテレの子供番組「いないいないばあ!」で名物キャラクターのワンワン(オネエっぽい喋りの着ぐるみの犬)を演じているチョーが水産会社の社長役を演じているのがツボだった。


(『夜明け告げるルーのうた』 監督/湯浅政明 脚本/吉田玲子、湯浅政明 撮影/バテイスト・ペロン 音楽/村松崇継 出演(声)/谷花音、下田翔大、寿美菜子斉藤壮馬菅生隆之、チョー、柄本明 2017年 113分 日本)


歌うたいのバラッド

歌うたいのバラッド