Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『アントマン』『アントマン&ワスプ』(ペイトン・リード) 


 アメコミ映画化作品が全盛の現在、機会があれば一応チェックしているものの、いまひとつのめり込めずにいる。このジャンル、シリアス路線に行き過ぎると馬鹿馬鹿しいし、かといって『デッド・プール』の悪ノリにもいまいちついていけなくてもどかしい。そこで『アントマン』、粗筋だけ聞くと相当馬鹿馬鹿しいなあと思うが、映画はヒーローもの本来の大らかさや荒唐無稽な面白さがのびのびと描かれていて、予想よりずっと面白かった。主人公が特殊スーツを使いこなせるようになるまでの訓練、ユーモラスな登場人物たちの出し入れ、小型化したヒーロー目線の映像、蟻軍団の活躍、唐突な音楽ネタ等々、見どころは多い。本作は当初エドガー・ライトが撮る予定だったらしい(脚本家の一人としてクレジットされている)。主人公の悪友マイケル・ペーニャが(脱線を繰り返しながら)語る事の顛末を素早い編集で見せる場面などにエドガー・ライトの痕跡が残っているようだ。悪役の一人でハル・ハートリー作品の常連マーティン・ドノヴァンが出ていた。


 1作目が非常に好印象だったので、続編『アントマン&ワスプ』は劇場に足を運んでみた。前作同様にアクションの緩急が見事で、ユーモアを交えたキャラクター描写が好ましく、お話が深刻になりすぎないのが良い。マイケル・ペーニャ一味が適度に活躍するのが嬉しかった。音楽ネタは前作のザ・キュアーに続いて、今回はまさかのモリッシー。楽しかったなあ。思わせぶりな幕切れはアベンジャーズ新作への布石か。


(『アントマン』 ANT-MAN 監督/ペイトン・リード 脚本/エドガー・ライトジョー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッド 撮影/ラッセル・カーペンター 音楽/クリストフ・ベック 出演/ポール・ラッドマイケル・ダグラスエヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、マイケル・ペーニャボビー・カナヴェイル 2015年 117分 アメリカ)


(『アントマン&ワスプ』 ANT-MAN AND THE WASP 監督/ペイトン・リード 脚本/クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ、ポール・ラッド、アンドリュー・バレル、ガブリエル・フェラーリ 撮影/ダンテ・スピノッティ 音楽/クリストフ・ベック 出演/ポール・ラッドエヴァンジェリン・リリーマイケル・ダグラスマイケル・ペーニャウォルトン・ゴギンズハナ・ジョン=カーメンローレンス・フィッシュバーンミシェル・ファイファー 2018年 118分 アメリカ)



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