Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

映画感想その2(アニメーション映画編)

 最近見た映画、またはだいぶ前に見たけど感想を書きそびれていた映画について、ここらでまとめて感想を書き記しておきます。今回はアニメーション編。本数多いので簡単に。

 

 

つみきのいえ』(加藤久仁生) 2008年 

 第81回アカデミー賞短編アニメーション部門受賞の名作。J・G・バラードよろしく水没した未来世界で、家族の思い出を胸に日々を送る老人。わずか12分で世界観が完璧に構築されていてお見事。音楽は栗コーダーカルテットの近藤研二。

 

 

 

トイ・ストーリー4』(ジョシュ・クーリー) 2019年 

 大傑作『トイ・ストーリー3』(2010年)のその後を描く意欲作。子供たちに遊んでもらうことを最上の喜びとしていたおもちゃたちが、それぞれの進路を選択します。自分はとても面白いと思いましたが、一緒に見ていた妻は「おもちゃが人間に干渉するのはルール違反ではないか」とこのシリースそもそもの設定がずれてんじゃないのと辛口の感想でした。そっかあ。

 

 

 

KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 2018年 

 魔法の三味線を操る少年クボを主人公とした時代劇アクション。主人公が敵にとどめを刺すショットは周到に回避されているのが心憎い。エンディングのあっと驚くジョージ・ハリスンのカヴァーには感激しました。

 

 

 

『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』(リチャード・スターザック、ウィル・ベッカー) 2019年 

 基本的にサイレント映画仕様を貫いているところが素晴らしく、これなら年齢関係なく間違いなく楽しめる。動物たちの擬人化もほどほどでいい塩梅。お話は『E.T.』を上手に取り込んでいて感心しました。

 

 

 

『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』(ポール・ティビット、マイク・ミッチェル) 2015年 

 アニメと実写の切り替え技が楽しい1作。以前はあんなにスポンジ・ボブの下品なノリが嫌いだったのに、次第に楽しめるようになってしまった。登場人物の誰も絶対に真面目なことは言わないという姿勢は好ましい。実写パートに出てくる悪役がアントニオ・バンデラスに似てるなと思ったら、本人だった。

 

 

 

『ディリリとパリの時間旅行』(ミッシェル・オスロ) 2018年 

 非常にアート色の強いフレンチアニメ。お話も、まさかこんな内容とは思わず驚きました。冒頭(主人公たちの出会い)はパリ万博で行われた人間動物園、きらびやかなパリの都の裏で暗躍する「男性支配団」というストーリー(捕えられた女性たちが四つ足と呼ばれ奴隷となる教育を受けさせられているイメージが強烈)の陰りが大人向け。

 

 

 

『バケモノの子』(細田守) 2015年 

 孤独な家出少年が、バケモノが暮らすもうひとつの世界へ迷いこむ。そこで腕っ節は強いが粗暴な性格で誰からも慕われていない武道家と出会い、弟子入りするが・・・というお話。さすがはジャッキー・チェン世代らしく、様々な訓練を経て少年が強くなっていく過程が楽しい。渋谷の街とパラレルに存在している異世界の描写はアニメーションならではの楽しさがある。ただ、主人公の生い立ちや、現実世界の女の子との関わりのエピソードがものすごくウエットに描かれていて、どうもしっくりこないものを感じました。映画としては純粋な活劇を指向しているわけではないのかなあと。

 

 

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(庵野秀明:総監督、鶴巻和哉中山勝一前田真宏) 2021年 

 自分の中でエヴァンゲリオンは旧劇場版で止まっていて、それ以上の興味を持つことはありませんでした。新劇場版がTV放映された時順番に見て、こういう展開になったのかと知った次第。これは広げた大風呂敷をどのように畳むのかと気になったので、完結篇は劇場に足を運びました。結果としては見事にけりを付けたなあという印象。終盤に物凄い勢いで風呂敷を畳んでいくので笑いそうになりました。TVシリーズ終盤や旧映画版の思わせぶりな演出ではなく、非常にストレートな娯楽作品として展開してくれたので好感度が上がりました。風呂敷を広げる中で放り出されていた同級生たちが、きちんと重要な役回りで登場するところとか。

 

 

 

ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(トム・マクグラス) 2021年 

 前作に比べかなり複雑な筋立てで、親子連れのちびっこは大丈夫かなあと心配になる感じでした。映像はせわしないし、お話の規模感とスペクタクル化した派手な映像の間にギャップがあるように感じてうまくノレませんでした。子供となったティムと娘タビサのふれあいの辺りからようやく落ち着いて見ることが出来た。

 

 

 

『劇場版 若おかみは小学生!』(高坂希太郎) 2018年

 人気の児童文学の映画化。これ、個人的にはムーンライダーズ案件で、音楽・鈴木慶一という興味で見ました。非常によくできた映画で、ライムスター宇多丸氏がどこかで指摘していた通り、「アニメ」ではなく「日本映画」の良作、という完成度。慶一さんの音楽は出しゃばらず、映像にそっと寄り添っている感じでした。

 

 

 

スパイダーマン:スパイダーバース』(ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン) 2018年 

 これは動くポップアート、素晴らしい。スパイダーマンが複数いるというお話も好み。同時期に邦画アニメーションの名作『この世界の片隅に』を見たのですが、(もちろんどっちが良い悪いではなく)同じアニメーション映画と言っても全く違った進化を遂げているなあと感動しました。

 

 

(この項続く)