Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『it's the moooonriders』聴きました

 

 我が最愛のロックバンド、ムーンライダーズ約11年ぶりのニューアルバム『it's the moooonriders』がリリースされました!『Ciao!』(2011年)以降、アーカイヴシリーズや単発LIVEアルバムのリリースはありましたが、これを待っていたのですよ、オリジナルアルバム。新曲が聴きたかった。

 

 今年デビュー45周年、先に「一生涯バンド継続宣言」をした彼らが果たしてどんなサウンドを聴かせてくれるのか。タイトル通り「これぞmoonriders!」という決定版となるのか。宣伝コピー「老齢ロックの夜明け」とは・・・。楽しみ、というより緊張でテンション上がりまくりの状態で、早速通しで1回聴いてみました。まずは覚書として第一印象を。

 

デヴィッド・リンチ的な世界の裂け目から博文さんのやさぐれた詩が漏れ出てくる逆回転のポエトリーリーディングから始まり、最後ははちみつぱいの昔から得意とする混沌としたフリー演奏。頭とお尻を実験曲でサンドして、間はムーンライダーズらしい柔らかな演奏とコーラスがたっぷり楽しめる。サックスをフィーチャーしたアレンジは新鮮だった。

・慶一さんがソロアルバム『Records and Memories』(2015年)で吐き出していたような妄想や寂寥感を、メンバーがそれぞれのテイストで表現したかのような荒涼とした世界観の歌詞が並んでいる。年齢がそうさせるのか、世相がそうさせるのか。

・いつもよりユーモラスな部分が少ないような気がする。故に「親より偉い子供はいない」の「ヨシアキさん!」にはホッとした。

・岡田さんの曲が少なくてちょっと寂しい。故に「三叉路のふたり」には泣いた。

・青春映画の逸品『ゴーストワールド』(テリー・ツワイゴフ)で、ヒロインは行先の知れないバス停に佇む老人を見かける。「彷徨う場所がないバス停」では、あの老人サイドから世界を眺めているのかもしれない。

・かしぶちさんのいないムーンライダーズ。こんなにも荒涼とした世界なのかと思う。

 

 きちんとしたアルバム・レビューはもう少し聴きこんでから書きたいと思います。これでまたしばらく生きていける。