Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『空飛び猫』シリーズ(アーシュラ・K・ル=グウィン) 

 

 娘が読んでいたアーシュラ・K・ル=グウィンの児童文学「空飛び猫」シリーズ。表紙の絵が可愛らしく楽しそうだったので、拝借して読んでみました。翻訳は村上春樹

 

 主人公は翼の生えた「空飛び猫」セルマ、ロジャー、ジェームス、ハリエットの4兄弟。母親の元を離れて旅立った4兄弟が、新しい住処となる森にたどり着くまでを描く1作目『空飛び猫』(1988年)。2作目『帰ってきた空飛び猫』 (1989年)では、成長した空飛び猫たちが母親に会うため町を目指します。旅の途中では翼を持った子どもの黒猫と出会います。3作目『素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち』 (1994年)は、翼を持たない普通の猫アレキサンダーと空飛び猫たちの交流を描いています。

 

 猫たちの思考や行動様式、猫同士の関係性が上手に描かれていて、期待通りの楽しい小説でした。挿絵(S.D・シンドラー)がまた良い。擬人化され過ぎず、翼があるだけで猫は猫のまま素っ気ない表情なのが可愛い。たまにはこういうのも良いですね。今回読んだのは3作目まで。末っ子の黒猫を主人公とした4作目『空を駆けるジェーン 空飛び猫物語』 (1999年)もあるようなので読んでみたい。