Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『Radio Moon and Roses1979Hz』(ムーンライダーズ+佐藤奈々子)

 

 夏休み1日目。今日は娘の要望で、久しぶりに葛西臨海水族園へ。割に近いところに住んでいるので、コロナ前は娘とよく行っていました。夏休みとあって館内はかなりの賑わいでした。娘は幼稚園の頃にここで買ってあげたペンギンのぬいぐるみが大のお気に入りで、今日も持参して、胸に抱きしめたまま一緒に見て回ってました。疲れたけど、娘が喜んでいたからまあいいか。それはさておき。

 

 

 

 夜になってフリーになったので、ムーンライダーズ佐藤奈々子のライヴ盤『Radio Moon and Roses1979Hz』(8/3リリース)聴きました。1979年1月28日オンエアTOKYO FM「デンオンライブ・コンサート」の音源をCD化したもの。収録曲は、

 

M1 スイマー

M2 スタジオ・ミュージシャン

M3 コインランドリー(作詞佐藤奈々子、作曲佐藤奈々子佐野元春

M4 ブラックペッパー・ジェラシー(作詞佐藤奈々子、作曲佐藤奈々子佐野元春

M5 女友達(悲しきセクレタリー)

M6 マイ・ネーム・イズ・ジャック

M7 火の玉ボーイ

M8 ジャブ・アップ・ファミリー

 

 時期的には、前年1978年12月に『ヌーベル・バーグ』をリリースした直後のライブです。『ヌーベル・バーグ』から4曲(M1、M2、M6、M8)、『イスタンブール・マンボ』から1曲(M5)、『火の玉ボーイ』から1曲(M7)、佐藤奈々子さんの曲が2曲(M3、M4)。

 

 これはとても良いです。ムーンライダーズがまだ初期のドリーミーな雰囲気をまとっていた頃、演奏はリラックスしていて、慶一さんのヴォーカルは伸びやか(MCはフニャフニャしてる)。大好きな「マイ・ネーム・イズ・ジャック」(ジョン・サイモンのカヴァー)も楽しいし、最後は今年3月の日比谷野音のアンコールでも演ってくれたユーモラスな「ジャブ・アップ・ファミリー」。彼らがこのライヴのような路線をもう少しやっていれば、最近再評価されている「シティポップス」の名盤とかいって取り上げられそうなアルバムが出来ていたかも。でもまあそれをやらずにニューウェーヴに走ったところが彼ららしいところなんですが。同じ年の10月には『モダーン・ミュージック 』、翌年が『カメラ=万年筆』と、全く違う路線へと進んでいきます。


 佐藤奈々子さんとの相性は抜群で、演奏からも良い雰囲気が伝わってきます。M5「女友達(悲しきセクレタリー)」は、オリジナルは慶一さんが女言葉で歌いクィアな雰囲気が漂う曲ですが、ここでは佐藤奈々子さんのヴォーカルで全く違った味わい。気怠い雰囲気がぴったりハマっています。

 

 ムーンライダーズ佐藤奈々子さんのコラボレーションは、この後更に発展します。作詞家として、『モダーン・ミュージック』の「鬼火」(慶一さんと共作)、『カメラ=万年筆』の「幕間」(ヴォーカルも)、そして『マニア・マニエラ』の「Kのトランク」と「檸檬の季節」!「Kのトランク」の「バラがなくちゃ生きてゆけない」は、「スカーレットの誓い」に再び登場しファンには忘れられない名フレーズとなりました。

 

 

 ちなみに同年のライヴは、ムーンライダーズのアーカイヴシリーズ『Archives Series Vol.2 1979.7.7 at KUBOKODO』でも聴くことが出来ます。