柴田元幸・斎藤英治編のアンソロジー『世界の肌ざわり 新しいアメリカの短編』読了。『狩人の夜』の脚本家ジェイムズ・エイジーの短編が収録されていると知って手に取ってみた。1993年刊行なので最早「新しい」とは言えまいが、収録作はどれも驚くほど面白かった。
収録作品は、スティーヴ・スターン『ラザール・マルキン、天国へ行く』、リチャード・ボーシュ『世界の肌ざわり』、リック・バス『見張り』、ロン・カールソン『アット・ザ・ホップ』、マーク・ヘルプリン『シュロイダーシュピッツェ』、シンシア・オジック『T・S・エリオット不朽の名作をめぐる知られざる真実 完全版書誌に向けてのノート』、ジェイムズ・エイジー『母の話』、シリ・ハストヴェット『フーディーニ』の全8編。
お目当てのジェイムズ・エイジー『母の話』は、母牛が子牛たちに、屠殺場から逃げ帰った伝説の牛の話を語るという物凄い短編だった。幕切れも鮮やか。ますますエイジーに関する興味がわいた。他の作品も読んでみたい。
田舎ホラー顔負けのリック・バス『見張り』、老人と孫娘の不器用な交流を描くリチャード・ボーシュ『世界の肌ざわり』、ポール・オースターのパートナー、シリ・ハストヴェット『フーディーニ』も強烈なインパクトだった。面白い作家はまだまだたくさんいるなあ。いくら時間が合っても足りないな。