Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

読書

読書記録

最近読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『月の部屋で会いましょう』(レイ・ヴクサヴィッチ) 全く知らない作家だったけど、岸本佐知子さん翻訳本なら間違いないだろうと手に取ってみた。肌が宇宙服になって空へ…

『無声映画のシーン』『黄色い雨』(フリオ・リャマサーレス)

無声映画のシーン 作者:フリオ・リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 2017年から2020年にかけての約4年間ほどだろうか、全く読書が出来ない時期があった。仕事が忙しくて時間が無いのに加えて、何故か小説を読む意欲が湧かず、本を開いてみても集中力…

『失踪者たちの画家』(ポール・ラファージ)

失踪者たちの画家 作者:ポール・ラファージ 中央公論新社 Amazon ポール・ラファージ『失踪者たちの画家』(1999年)読了。全く知らない作家だけど、柴田元幸翻訳本にハズレなしのセオリーに沿って手に取ってみた。個人的には「失踪者」という言葉もポイント…

『密やかな結晶』(小川洋子)

密やかな結晶 新装版 (講談社文庫) 作者:小川洋子 講談社 Amazon 小川洋子『密やかな結晶』(1994年)読了。著者の作品を読むのは初めて。 舞台は様々なものの記憶(概念)が少しずつ消えていく島。フェリーが、香水が、鳥が、薔薇が、人々の記憶から消えて…

『恐怖 ダリオ・アルジェント自伝』

恐怖 ダリオ・アルジェント自伝 作者:ダリオ・アルジェント フィルムアート社 Amazon イタリアン・ホラーの帝王ダリオ・アルジェントの自伝『恐怖 ダリオ・アルジェント自伝』読了。表紙は御大の怖い顔のアップで強烈なインパクト。 正直言うとアルジェント…

『白い果実』三部作 『最後の三角形』(ジェフリー・フォード)

白い果実 作者:ジェフリー フォード 国書刊行会 Amazon 短編集『言葉人形』を読んで以来、ジェフリー・フォードにはすっかりハマってしまった。長編<『白い果実』三部作>、短編集『最後の三角形』も読んでみた。ジャンルで言えばダーク・ファンタジーとい…

読書記録

最近読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』 昨年末に出た、鈴木慶一評伝(ロング・インタビュー)。オリジナルメンバー2人を失ってなお旺盛な活動を続けるムーンライダーズ。評伝…

読書記録

最近読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『ティンカーズ』(ポール・ハーディング) 主人公は死を目前にした時計の修理工の老人。病床に横たわる彼のとりとめのない意識の流れ、家族の記憶、そして時計修理の手引…

『救い出される』(ジェイムズ・ディッキー)

救い出される (新潮文庫) 作者:ディッキー,ジェイムズ 新潮社 Amazon ジェイムズ・ディッキー『救い出される』(1970年)読了。ジョン・ブアマン監督の傑作『脱出』原作。新潮文庫、村上柴田翻訳堂の一冊として復刊されてから何度か手に取ったが、あまりに厭…

『淀川長治 映画ベスト100&ベストテン』

淀川長治映画ベスト100&ベストテン (河出文庫 よ 4-3) 作者:淀川 長治 河出書房新社 Amazon 昨年4月に読んだ『淀川長治 究極の映画ベスト100』 (河出文庫)は、『淀川長治 究極の映画ベスト1000』から選りすぐられた100本を紹介する「究極の映画ベスト100」…

ふたつの『アンダーカレント』

【映画パンフレット】アンダーカレント 監督 今泉力哉 キャスト 真木よう子 井浦新 リリー・フランキー ノーブランド品 Amazon (以下の記事は結末部分に触れていますので、気になる方は鑑賞後にお読みください) 今泉力哉監督『アンダーカレント』鑑賞。9…

読書記録

最近読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『時ありて』(イアン・マクドナルド) 2018年 イギリスのSF作家イアン・マクドナルドの長編小説。以前読んだ『サイバラバード・デイズ』はサイバーとインドのエキゾチック…

『鑑識レコード倶楽部』(マグナス・ミルズ)

鑑識レコード倶楽部 作者:マグナス・ミルズ アルテスパブリッシング Amazon マグナス・ミルズ『鑑識レコード倶楽部』(2017年)読了。作者については全く予備知識なし。例によって「柴田元幸翻訳にハズレなし」のセオリーに沿って手に取ってみた。 毎週月曜…

読書記録その3

今年読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『騎士団長殺し』(村上春樹) 最新刊を読む前にと、積読になっていた2017年の長編を読む。第1部『顕れるイデア編』、第2部『遷ろうメタファー編』のハードカバー2冊の大長…

読書記録その2 

今年読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』(ルシア・ベルリン) 作者についてほとんど予備知識ないままに『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』…

読書記録その1 

今年読んだ本で、まだブログに書いていなかったものをまとめて書き記しておきます。 『モーテル・クロニクルズ』『鷹の月』(サム・シェパード) 劇作家・俳優として知られるサム・シェパード。『鷹の月』(1973年)はシェパードが20代の頃の詩や散文を収録…

『探偵マーロウ』(ニール・ジョーダン)

黒い瞳のブロンド フィリップ・マーロウ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ベンジャミン ブラック 早川書房 Amazon 昔から探偵映画が大好きで、『三つ数えろ』『キッスで殺せ!』『チャイナタウン』といった名作から、アクション志向の『探偵マイク・ハマー/俺…

『なめくじに聞いてみろ』(都筑道夫)

なめくじに聞いてみろ 新装版 (講談社文庫) 作者:都筑道夫 講談社 Amazon 都筑道夫『なめくじに聞いてみろ』(1962年)読了。旧題『飢えた遺産』、岡本喜八監督の大傑作『殺人狂時代』の原作だ。どういうタイミングかわからないけど新装版で文庫化されていた…

『スタッフロール』(深緑野分) 

スタッフロール 作者:深緑 野分 文藝春秋 Amazon 深緑野分『スタッフロール』(2022年)読了。映画ネタの小説は大好物なので手に取ってみた。面白かったので一気読みでしたよこれ。 本作は2部構成で、2人の女性クリエイターの紆余曲折が描かれる。第1部の主人…

読書記録

最近読んだ書籍、または大分前に読んだけどブログに感想を書きそびれていた書籍について、まとめて感想を書き記しておきます。 『彼女がエスパーだったころ』(宮内悠介) 宮内作品が気に入って、早くも4冊目。『彼女がエスパーだったころ』(2016年)は、火…

『オーソンとランチを一緒に』(ピーター・ビスキンド)

オーソンとランチを一緒に 作者:オーソン・ウェルズ,ヘンリー・ジャグロム 木魂社 Amazon ピーター・ビスキンド著『オーソンとランチを一緒に』(2013年)読了。映画史に燦然と輝く名作『市民ケーン』で知られる映画監督、俳優オーソン・ウェルズ。ウェルズ…

『超動く家にて』『エクソダス症候群』『ディレイ・エフェクト』(宮内悠介) 

超動く家にて 宮内悠介短編集 (創元日本SF叢書) 作者:宮内 悠介 東京創元社 Amazon 日本のSFを読みたくて、宮内悠介をチョイス。三冊読んでみて、すっかり気に入ってしまった。 最初に読んだのが、短編集『超動く家にて』。後書きに曰く「ネタに偏った作を集…

読書記録

最近読んだ書籍、または大分前に読んだけど感想を書きそびれていた書籍について、ここらでまとめて感想を書き記しておきます。 『ハロルドとモード』(コリン・ヒギンズ) 同名映画(1971年)のオリジナル脚本家コリン・ヒギンズによるノベライズ。映画まん…

『TATIタチ 「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実』(マルク・ドンデ)

タチ―「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実 作者:マルク ドンデ 国書刊行会 Amazon 『ぼくの伯父さん』で知られるジャック・タチの評伝『TATIタチ 「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実』(1989年)読了。タチの生い立ちから、スポーツクラブの余興か…

『銀の糸あみもの店』(瀬尾七重)

銀の糸あみもの店 (講談社文庫) 作者:瀬尾七重 講談社 Amazon 瀬尾七重『銀の糸あみもの店』(1983年)読了。友人のくにとも師が、ウチの娘にと送ってくれた児童文学。11編のファンタジックな短編が収録されています。繊細な表紙のイラストと「あみもの店」…

『一人称単数』 (村上春樹) 

一人称単数 (文春e-book) 作者:村上 春樹 文藝春秋 Amazon 久々に村上春樹を。短編集『一人称単数』(2020年)読了。 『一人称単数』には8つの短編が収録されています。『石のまくらに』。大学生の「僕」は同じバイト先の女性と一夜を共にする。彼女は短歌を…

『散歩の収穫』(赤瀬川原平) 

散歩の収獲 作者:赤瀬川 原平 日本カメラ社 Amazon 赤瀬川原平『散歩の収穫』(2010年)読了。表題の通り、東京の下町散歩の写真+短いエッセイ。軽めの読み物だけど、仕事明けの疲れた頭には丁度良い塩梅でした。 スマホの普及で今やデジカメひとり一台持ち…

『メランコリア』(道満晴明)

メランコリア (上)(下)巻セット 作者:道満 晴明 集英社 Amazon 友人のくにとも師からいただいたコミック、道満晴明『メランコリア』(上下巻)読了。最近のコミックには全く疎いので、著者の作品を読むのは初めて。くにとも師の「SFですよ」というお薦め文以…

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』 (円城塔)

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> (ジャンプジェイブックスDIGITAL) 作者:円城塔 集英社 Amazon 円城塔『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2022年)読了。自身がシリーズ構成・脚本を担当したTVアニメーションのノベライズ。 ゴジラは本多猪四郎による…

『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ)

バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス) 作者:施川 ユウキ 一迅社 Amazon 友人のくにとも師からいただいたコミック、施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』(1巻)読む。学校の図書館にたむろする4人の男女の生態を描くギャグマンガ。ろくに本を読まないのに他人…