Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『男と女』(クロード・ルルーシュ) 

 

 クロード・ルルーシュ監督『男と女』(1966年)鑑賞。主演アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン。超有名なタイトルですが今回が初見です。ルルーシュの映画はほとんど見たことが無くて、長編は大昔に『愛と哀しみのボレロ』をTVで見たくらいかな。

 

 それぞれ伴侶を不慮の死で失った男女が、次第に魅かれ合っていくというシンプル極まりないお話。フランシス・レイの今ではもうあり得ないくらい濃厚な音楽がムーディーな雰囲気を盛り上げる。雨に煙るロケーション(子供の寄宿舎のある海辺の町)。モンテカルロ・ラリーとかカーレースの場面が丁寧に撮られてるのはルルーシュの趣味かな。映画ならではの情感を漂わす映画の雰囲気は、こちらの好みではないけれど、なるほど名作と納得しました。予想外だったのは、いつも仏頂面のイメージがあるトランティニャンのイイ笑顔がたくさん見れたこと。あんなにニコニコしているトランティニャンは初めて見たような気がします。

 

 ムーンライダーズファンとしては、ピエール・バルーの出演も嬉しかった。彼と共演したことあるんだよなあと。アルバムは聴いたことあるけど動くところは初めて見ました。

 

 シーンごとに色調を変えてみたり、コミカルな挿入カットがあったり、せわしない繋ぎには我が国の大林監督を想起。本作は幸宏さんのフェバリットだったはずで、あながち的外れな連想でもないかな。