Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ブラジルから来た少年』(フランクリン・J・シャフナー)

ブラジルから来た少年 [DVD]


ブラジルから来た少年』 THE BOYS FROM BRAZIL


 監督/フランクリン・J・シャフナー
 原作/アイラ・レヴィン
 脚本/ヘイウッド・グールド
 撮影/アンリ・ドカエ
 音楽/ジェリー・ゴールドスミス
 出演/グレゴリー・ペックローレンス・オリヴィエ、ジェームズ・メイソン、リリー・パルマ
 (1978年・124分・イギリス) 


 TSUTAYAの「名作発掘」コーナーが、その名に恥じぬ充実ぶりを見せている。フライシャーの『絞殺魔』やブアマンの『ポイントブランク/殺しの分け前』が棚にずらりと並んでいるという、一昔前なら考えられないような異常事態には思わず我が目を疑った。さらには『レモ/第一の挑戦』という愛すべき名作(迷作?)までもが・・・。その「名作発掘」コーナーに、今度は『ブラジルから来た少年』が登場! 早速レンタル。


 ブラジルから来た少年(1978年)は、『ローズマリーの赤ちゃん』のアイラ・レヴィンの原作を、『パピヨン』『猿の惑星』のフランクリン・J・シャフナーが監督したサスペンス巨編。日本では劇場未公開となったが、翌1979年にTV放映された。メンゲレ博士(グレゴリー・ペック)らナチの残党が発動した謎の計画と、それを阻止しようとする老ナチ・ハンターのリーベルマン(ローレンス・オリビエ)の死闘を描く。


 件のTV放映以来、実に32年ぶりの再見である。嬉しい事に、改めて見直しても充分に鑑賞に堪えうる面白い映画であった。お話はかなりトンデモな設定ではあるが、そこはシャフナー監督の手堅い演出と、キャスティングの魅力で説得力を生み出している。世界を股に掛けたスケールの大きな物語なのに、最後は田舎の一軒家で地味いいいに終わるのも何だか良かった。


 メンゲレ博士を演じるのはグレゴリー・ペック。『アラバマ物語』『ローマの休日』等善良な役柄の多いペックが意外な悪役演技を見せる。着ぐるみでも被ってるような妙な動きが見ものだ。ナチ・ハンターのリーベルマン役はローレンス・オリビエ。オリビエは『マラソンマン』では逆にナチの残党を演じ、歯医者拷問で強烈な印象を残すことになる。脇には、ナチの一味にジェームズ・メイスン。医師役で『ベルリン 天使の詩』のブルーノ・ガンツガンツは後年あのお方本人を演じている。前半に登場するジャーナリスト役はスティーヴ・グッテンバーグ。『ポリス・アカデミー』『コクーン』等、80年代は主役級で活躍していたけど、最近見かけないなあ。他には『インディ・ジョーンズ』シリーズのデンホルム・エリオットティム・バートン作品常連のマイケル・ガフなど。地味っちゃあ地味だが、このキャスティングが説得力充分だ。


 今回再見して、何といっても印象的だったのは音楽(ジェリー・ゴールドスミス)であった。音楽のノリの良さでぐいぐい引っ張っているような印象すらあった。原作及び音楽については、前のブログで書いています。よろしかったらこちらもご覧下さいませ。


 原作 http://cul-de-sac.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-457a.html

 音楽 http://cul-de-sac.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/ost-2e42.html