- アーティスト: Thomas Newman
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2012/11/21
- メディア: CD
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『007/スカイフォール』 SKYFALL
監督/サム・メンデス
脚本/ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ジョン・ローガン
撮影/ロジャー・ディーキンス
音楽/トーマス・ニューマン
出演/ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ナオミ・ハリス、レイフ・ファインズ、ジュディ・デンチ
(2012年・142分・イギリス/アメリカ)
2013年の劇場鑑賞は『007/スカイフォール』からスタート。MOVIX利府にて。ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンドの3作目で、シリーズ通算23作目。第1作『ドクター・ノオ』(初公開時タイトルは『007は殺しの番号』』から数えて、シリーズ誕生50周年記念作とのことだ。
ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンドの1作目『カジノ・ロワイヤル』、2作目『慰めの報酬』では00ナンバーを取得したばかりの荒削りなボンドが描かれていた。本作ではボンドの生い立ちが語られ、M、Q、マネーペニーといったお馴染みの脇役が新たに顔を揃え、いわばシリーズの仕切り直しの再スタートに当たる。個人的にはとても面白い映画だと思ったのだけれど(約半年ぶりの映画館だったので、嬉しくて点が甘くなってるところもあるかも)、ネットで感想を拾うと意外に評判が悪い。「こんなのボンド映画じゃない」という意見多数、という感じ。確かにかつてのボンドに比べると殺気立ったクレイグにはユーモアが感じられないし、お馴染みの秘密兵器は出ない(本人認証機能を備えたワルサーPPKと発信機というごくシンプルな装備のみ。でもアノ車は登場)し、ボンドガールのお色気(死語)も無い。敵役はかつての「世界征服の野望を抱いた悪の組織」ではなくて私怨に燃える男の私設軍隊だ。確かに「こんなのボンド映画じゃない」という意見も分からんではないとは思う。
荒唐無稽な設定やアクションの面白さは『M:I』シリーズにお株を奪われた感がある中で、かつてのボンドの焼き直しをしても仕方ないんじゃないかなあと思っている。ボンドが肉体を駆使して駆け回る(ジャッキー・チェン以降とでも呼びたい)アクションの連打は見応えがあるし、クレイグの殺伐ボンドも本気度が高くて、個人的には、これはこれでアリなんじゃないかなあと思う。
監督は『アメリカン・ビューティー』『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のサム・メンデス。スパイ・アクションとは全く畑違いな印象だけど、なかなか健闘していたと思う。冒頭の長いチェイス、ネオンサインをバックにしたシルエットだけの乱闘場面、そして『わらの犬』調のクライマックス等、アクション演出もかなり楽しめた。
本作で「趣味は何だ?」と聞かれたボンドはこう答える。「趣味は復活(Resurrection)だ」。クライマックスは教会だったな確か。仕切り直しの再スタートとなった本作、次はどう出るのか。従来の007イメージを踏襲したスマートなボンド映画に戻るのか、それともこのまま殺伐ボンド路線を突っ走るのか・・・。さておき、007ネタの傑作短編『From the Nothing, With Love.』を書いた伊藤計劃氏が生きていたら果たしてどういう感想を抱いただろうか。