Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ブレードランナー2049』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)


 昨年見た映画の感想です。2017年の目玉は、やっぱりコレでした。『ブレードランナー2049』(監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ)。


 こればかりは絶対に見逃す訳にいかないと、かなり前からあれこれ調整して、封切初日に近所のシネコンへ駆け込んだ。シネコンそのものは親子連れで混みあっていたけれど(お目当ては『プリキュア』シリーズの新作かな)、『ブレラン2049』はいささか淋しい入りだった。初日なのに客の入りは4割程度だったなかと。


 さておき、あの『ブレードランナー』の!我がオールタイムベストの!という大きな期待と不安をもって封切初日のスクリーンに対峙した訳だが、それを考えるならば「ガッカリ感がない」というだけでも凄いことではないかと思う。例えば『ブルースブラザース』とか『48時間』とか不出来な続編の存在が本編の良ささえも損なうようで、「無かったことにする」しかないケースもたくさんある。今回の『2046』は映画として(もしかすると個人の好みとして)もっとこうだったら良かったとか、もっとこうして欲しかった、とかいう部分はある。確かにある。「画」で魅せるゆったりしたテンポが好ましいと思う反面、この長尺ならば脇のキャラクターをもっと掘り下げて欲しかったという気がしたり。しかし、続編としての完成度、本編への理解度の深さ、個々の描写の濃さについては文句のつけどころがない。よくやった!と称えたい気持ちである。嬉しくて「もっと見ていたい」と思ったほどだ。(終わるのが惜しいと思いながらスクリーンに没入できたなんてことは久しくなかった)


 違和感というか、問題があるとすればただひとつ「そもそも続編なんて別にいらないんじゃね?」という点に尽きるが、それを言ってはおしまいなので、ともかくもあの『ブレードランナー』の続編というとてつもなくハードルの高い企画をよくぞここまで仕上げたという製作陣の偉業を称えたい。ここまでやってくれたら感謝しかない。『ブレードランナー』を汚さないでくれてありがとう、と。


(『ブレードランナー2049』 BLADE RUNNER 2049 監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ 脚本/ハンプトン・ファンチャーマイケル・グリーン 撮影/ロジャー・ディーキンス 音楽/ハンス・ジマーベンジャミン・ウォルフィッシュ 出演/ライアン・ゴズリングハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、マッケンジー・デイヴィス、シルヴィア・フークスレニー・ジェームズカルラ・ユーリロビン・ライト、ジャレット・レト 2017年 163分 アメリカ)