Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ならず者部隊』(リチャード・フライシャー)


 TSUTAYAの「発掘良品」コーナーにはリチャード・フライシャー監督の『10番街の殺人』『見えない恐怖』、そして『絞殺魔』がラインナップされている。その昔中古VHSを探し回った身としては、フライシャーの名品がレンタル屋の棚に並んでいるのを見るのはなかなか感慨深いものがある。それはさておき。フライシャーの戦争映画『ならず者部隊』BETWEEN HEAVEN AND HELL(1956年)をDVDで鑑賞。


 南方の島を舞台に、米軍と日本軍の攻防を描いた二次大戦もの。タイトルからして喜八の『独立愚連隊』やアルドリッチの『特攻大作戦』みたいな映画かと思いきや、南部の大地主として小作人を使い綿花の栽培を行っていた世間知らずの主人公(ロバート・ワグナー、どことなくデカプリオに似ている)が徴兵され、戦場で小作人たちと共に戦う内に人間性を獲得していく・・・というお話で、痛快な娯楽路線とは程遠い異色作であった。原題は「天国と地獄の間」。


 上官を殴って最前線に送られた主人公は、独自のルールで部隊を支配する隊長(ブロデリック・クロフォード)と対立を繰り返す。敵の狙撃兵から狙われないために階級を示す軍服を着用せず兵舎から外に出ようとしないという部隊長のキャラクターが印象的。部隊長が射殺される場面のミもフタも無い簡潔な演出は実にフライシャーらしい。


(『ならず者部隊』 BETWEEN HEAVEN AND HELL 監督/リチャード・フライシャー 脚本/ハリー・ブラウン 撮影/レオ・トーヴァー 音楽/ヒューゴ・フリードホーファー 出演/ロバート・ワグナー、テリー・ムーア、バディ・イブセン、ブロデリック・クロフォード、ケン・クラーク、L・Q・ジョーンズ、マーク・ダモン 1956年 94分 アメリカ)


見えない恐怖 [DVD]

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