Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

追悼ロビー・ミュラー

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 ヴィム・ヴェンダース監督作品で知られる名撮影監督のロビー・ミュラーが亡くなった。享年78歳。


 ロビー・ミュラーが撮影を担当したヴェンダース作品、初期のロードムービー三部作『都会のアリス』『まわり道』『さすらい』から、『アメリカの友人』、『パリ、テキサス』、『夢の涯てまでも』など、どれも映像が鮮烈に思い出される作品ばかりだ。70年代〜80年代に至るヴェンダース作品の魅力は、ミュラーの端正な撮影に負うところが大きかったように思う。『パリ、テキサス』や『さすらい』で見せた田舎の荒涼とした風景もいいけれど、何と言っても都市部の夜景を独特な色彩で切り取った映像が印象に残る。特に『アメリカの友人』は我がオールタイム・ベストにランクインの大好きな作品だ。


 他にもジム・ジャームッシュ作品(『ダウン・バイ・ロー』『ミステリー・トレイン』『デッドマン』他)、アレックス・コックス『レポマン』、ウィリアム・フリードキン『L.A.大捜査線/狼たちの街』など名作は数多い。ハリウッドでの仕事ではジョン・シュレシンジャーの『サンタリア・魔界怨霊』なんてのも。後年はラース・フォン・トリアーと組んで(『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)、それまでの端正な撮影を放棄したような手持ちビデオ撮りに果敢に挑んでいて凄いなあと思ったものだ。ご冥福をお祈りします。