Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(クリストファー・マッカリー)


 トム・クルーズ主演の人気シリーズ第6弾『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』鑑賞。前作『ローグ・ネイション』で登場したテロ組織「シンジケート」の残党とIMFチームの攻防を描くスパイ・アクション。監督は『アウトロー』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』とトムとのコンビ作が続くクリストファー・マッカリークリストファー・マッカリーといえば『誘拐犯』(2000年)という隠れた逸品があるので、未見の方はぜひチェックを。


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 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、変装・騙し・アクション・変装・潜入・アクション・裏切り・アクション、という風にスパイ映画ならではの見せ場とアクションが切れ間なく続く構成で、2時間半飽きさせない。アクションもバリエーション豊富な上に様々な工夫が凝らされていて楽しかった。クライマックスなど「時限装置のタイムリミットが迫る中で爆弾の線をチョンと切る」というサスペンス映画お約束の決着を、ヘリアクションと格闘でこれでもかと引き伸ばしてみせる。そのヘリアクションもよじ登りの高所アクション、ヘリによる追撃、墜落、断崖での高所アクション、格闘、とめまぐるしく展開。その間、悪役とイルサ、ベンジーの三つ巴の格闘が展開するという詰め込みぶり。


 感想を拾ってみると、本作は意外に賛否両論のようだ。確かに様々な面で突っ込みどころ満載な映画ではある。お話の雑さよりも、基本「女にモテて友情に厚い正義の味方」というトムのスター映画(俺様映画とも言う)なので、そこが許せるか許せないかというあたりが評価の分かれ目のような気がする。個人的にはサービス精神の塊のごときアクションの頑張りにその辺の甘さは帳消しという感じであった。ロンドン市街をあの特徴的なフォームで全力疾走するトムの姿を見ているだけで嬉しかったですよ。


 トム・クルーズは、走る、飛ぶ、ぶら下がる、落ちる、しかもかなり痛そう、なアクションに身体を張って挑んでいて、「ジャッキー・チェンの正当な後継者は俺だ」くらい本気で思っているに違いない。町山智浩氏の「エンドロールにNG集があればよい」という意見は正にその通り。トムが自ら歌うテーマ曲をBGMに、シリアスな芝居でトチり思わず笑ってしまうNGからアクションの失敗で病院に担ぎ込まれる様子まで、目に浮かぶようではないか。もしそんな趣向があれば、今回は若干映画の雰囲気が重くなりすぎた感があるのでいい息抜きになったかも。


(『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』MISSION: IMPOSSIBLE - FALLOUT 監督・脚本/クリストファー・マッカリー 撮影/ロブ・ハーディ 音楽/ローン・バルフェ 出演/トム・クルーズヘンリー・カヴィルヴィング・レイムスサイモン・ペッグレベッカ・ファーガソンショーン・ハリスヴァネッサ・カービーアレック・ボールドウィン 2018年 147分 アメリカ)


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