Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『カーズ2』(ジョン・ラセター)

カーズ2』 Cars 2


 監督/ジョン・ラセター
 脚本/ベン・クイーン
 音楽/マイケル・ジアッキーノ
 出演(声)/オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケーブルガイ、マイケル・ケインエミリー・モーティマー
 (2011年・113分・アメリカ)


 擬人化された自動車たちが活躍するピクサー・アニメ『カーズ』の第2弾、カーズ2見る。最寄りのシネコン、MOVIX利府のレイトショーにて。以下、ネタばれありです。


 ライトニング・マックイーンが仲間たちと共に出場するワールド・グランプリの様子が描かれるが、メインはレースの勝敗ではない。ガソリンに代わる代替エネルギーを巡るスパイ合戦の話である。しかも主人公はマックィーンじゃなくて、レッカー車のメーターだ。前作ののんびりしたタッチとはうって変わってアクション満載の派手な展開で、続編というよりは番外編という感じ。ここまでスケールアップしちゃうと最早『カーズ』じゃなくてもいいんじゃないかと思うけど、これはこれで大いに楽しめた。


 スパイ映画風のテイストは全編徹底されている。アメリカから始まり、日本、イタリア、フランス、イギリスと世界を股に掛けた展開、舞台となる各都市の思いっきりステレオタイプな描き方(日本ならば芸者、寿司、相撲、歌舞伎といった風な)、車に仕掛けられた秘密兵器、パーティー会場での駆け引き、トイレでの格闘、変装して敵のカジノに潜入、意外な黒幕の正体・・・。この辺の丁寧な仕事ぶりはさすがはピクサー・アニメと感心した。悪の組織を突き動かす動機が、欠陥車のリベンジだったという設定が特に良かった。


 実は字幕2D版を見たかったのだが、近所では2D3Dとも吹替え版のみの上映だった。やむを得ず吹替え2D版で鑑賞。芸達者な声優陣の好演によりそれほどの違和感を感じずに楽しむことが出来たので一安心。特に、メーターを演じる山口智充には驚いた。ぐっさん上手いわ。


 字幕版で見たかった理由は、豪華な俳優陣である。英国のスパイ役は何とマイケル・ケイン! さらにジョン・タトゥーロトーマス・クレッチマンフランコ・ネロヴァネッサ・レッドグレイヴブルース・キャンベルらが参加しているのだ。これは是非原語で聞きたかったなあと思う。


 音楽は前作のランディ・ニューマンに代わり、マイケル・ジアッチーノ(『M:I:Ⅲ』『Mr.インクレディブル』)が担当。いかにもスパイ映画風のいかがわしい曲で雰囲気を盛り上げていた。


 音楽と言えば、前回のエントリーで「カーズといえば『ユー・マイト・シンク』だろう」みたいなことを書いた。そしたら、今回思いっきり『ユー・マイト・シンク』が流れたんで椅子から転げ落ちそうになった。ウィーザーによるカバー・ヴァージョンで、ほぼ完コピー。「カーズといえば・・・」って、作り手も考えることは同じであったか。


カーズ2 (オリジナル・サウンドトラック)

カーズ2 (オリジナル・サウンドトラック)