- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2011/04/22
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『魚が出てきた日』 THE DAY THE FISH CAME OUT
監督・脚本/マイケル・カコヤニス
撮影/ウォルター・ラサリー
音楽/ミキス・テオドラキス
出演/トム・コートネイ、コリン・ブレイクリー、キャンディス・バーゲン、サム・ワナメイカー
(1967年・109分・ギリシャ/イギリス)
『スターウォーズ』『未知との遭遇』でSFブームが起こった頃(小学生の頃)に買ったSF映画ムックがあった。豊富な図版入りで様々なSF映画が紹介されていて、作家や漫画家のお薦めSF映画コーナーもあったりして、夢中になって読んだものだ。多分今でも実家に帰ると本棚にあると思う。その本でタイトルを知ったのが『魚が出てきた日』。誰だったかSF作家がお薦めの映画として挙げており、奇妙なタイトルで記憶に残っていた。DVDを発見したので早速チェック。監督は先日亡くなったギリシャのマイケル・カコヤニス。
ギリシャの寂れた小島に爆撃機が墜落、積荷の核爆弾と金属製ケースを投下した後、パイロットはパラシュートで脱出。金属製ケースは、中に金が入っていると誤解した羊飼いの夫婦に拾われる。やがて観光業者になりすました軍関係者が島に上陸し、爆弾とケースの回収を開始するが・・・。(以下、ネタばれありです)
爆撃機のパイロット二人組が一文無しで島をウロウロするエピソード、ホテル建築と偽って軍関係者が島を捜索するエピソード、金属ケースを拾った羊飼いがケースを開けようと悪戦苦闘するエピソード、島を訪れた観光客や考古学者たちのエピソード等々、ドタバタしたコメディタッチで描かれて行く。これが何でSF映画なのかと言うと、設定が近未来なんですね。1967年製作で、本編では1972年のお話になっている。劇中のサイケな衣装は近未来ファッションという訳だ。陽光降り注ぐギリシャの風景やカラフルな衣装は目に楽しいけれど、映画としては若干ユル過ぎる感じ。
映画の前半はやたらに男の裸ばかり出てくる。パイロット二人組は汚いパンツ一丁でウロウロ。軍関係者たちは若者ばかりの集団で、皆水着姿で登場する。後半、考古学者役のキャンディス・バーゲンが出てくるまでは、ちょっと異様なくらい裸の男たちの映像ばかりで凄く鬱陶しかったなあ。監督の嗜好なのかな。
奇妙なタイトルの由来は、ラストシーンで判明。羊飼いが金属ケースを開けると、中には卵型の物体が沢山入っている。金目のものを期待していた羊飼いは失望して、海に捨ててしまう。その夜、パーティーで盛り上がるビーチに、大量の魚の死骸が浮かび上がる。金属ケースに入っていたのはどうやら核廃棄物であった・・・というオチ。まあ、本作はブラック・コメディな訳だけれども、時期的にとても笑えるようなネタではなかったのであった。というか、金属ケースの中身など最初っからお見通しだし、我らは今や日々「魚が出てきた日」の到来に怯えながら暮らしているようなものではないか。
本作で一番冴えていたのはOPであった。タイトルデザインは、「007」シリーズで知られる名手モーリス・ビンダーだ。