Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『クリスマス・キャロル』(ロバート・ゼメキス)


クリスマス・キャロル』 A CHRISTMAS CAROL


 監督・脚本/ロバート・ゼメキス
 原作/チャールズ・ディケンズ
 撮影/ロバート・プレスリー
 音楽/ アラン・シルヴェストリ
 出演/ジム・キャリーゲイリー・オールドマンロビン・ライト・ペンコリン・ファースボブ・ホスキンス
  (2009年・97分・アメリカ)


 季節外れなんだけど、ディズニーのクリスマス・キャロル見る。チャールズ・ディケンズの古典を、ロバート・ゼメキス監督が映像化。


 高利貸しのスクルージ老人(ジム・キャリー)は、金の亡者で町中の嫌われ者。クリスマス・イヴの晩、かつての共同経営者の亡霊が現れ、スクルージの運命を変えるため3人の精霊がやってくると告げる。やがて1人目の精霊が出現し、スクルージを過去のクリスマスへと連れて行くが・・・。


 ロバート・ゼメキスはパフォーマンス・キャプチャー(役者の演技をデータとして取り込み、それを元にCGアニメーション化する)技術にこだわりがあると見えて、『ポーラー・エクスプレス』、『ベオウルフ/呪われし勇者』、そして本作が3度目の挑戦である。しかも公開時は3D仕様である。個人的にはどうもあの映像には馴染めないんだよなあ。つるりとした質感と、妙にピョンピョンと弾んだ動き。ゲームのデモ画面っぽさが否めないというか。CGアニメ/3D仕様ならではの見せ場を作ろうとしてカメラがやたら派手に動き回るのを見ていると、映画というよりも遊園地のアトラクションみたいだなあと思ったり。映画が従来のかたちから、新しい何かに変化するその一過程として受け止めればよいのかなあと思ったりもするが。


 ストーリーを要約すると、偏屈者の老人が自分の生涯を振り返って改心する、というもの。ドラマとしては、純粋だった青年スクルージが金の亡者に変貌する部分があまりにザックリ適当に端折られている気がしたなあ。原作そのままだって言われるかもしれないけれど。しかも、改心したスクルージ老人はジム・キャリーお得意のハイテンションな躁状態になる。あれじゃ「改心した」というより「気がふれた」みたいに見えるよ。町の皆も退きまくりだろう。映画としてどこか塩梅を間違えた感じで、非常に居心地の悪い作品になっていると思ったなあ。


 出演はジム・キャリーゲイリー・オールドマンロビン・ライト・ペンコリン・ファースボブ・ホスキンスら。ジム・キャリーやオールドマンらはモーション・キャプチャーにより一人数役を演じているようだ。『クリスマス・キャロル』で何が嫌だったかって、CGキャラクターと化したゲイリー・オールドマンであった。いくら何でもあれは不気味過ぎるだろう。