Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『宇宙人ポール』(グレッグ・モットーラ)

宇宙人ポール [DVD]

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宇宙人ポール』 PAUL


 監督/グレッグ・モットーラ
 脚本/サイモン・ペッグニック・フロスト
 撮影/ローレンス・シャー
 音楽/デヴィッド・アーノルド
 出演/サイモン・ペッグニック・フロストジェイソン・ベイトマンクリステン・ウィグジョン・キャロル・リンチ
  (2010年・104分・アメリカ/イギリス)


 昨年(2011年)の映画鑑賞の締めくくりは宇宙人ポールであった。劇場はまたしても仙台チネラヴィータ。12月は『タンタンの冒険』『ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル』、そして『宇宙人ポール』と、期せずしてサイモン・ペッグ月間になってしまった。いつの間にやらハリウッドでも売れっ子になっていたのだな。


 “コミコン”(SFファンが集まるコミックと映画のイベント)とUFO関連の名所を巡る為に、アメリカへやって来たイギリス人オタク2人組(サイモン・ペッグニック・フロスト)。旅の途中で本物の宇宙人と出会い、故郷の星へと帰る手助けをする羽目になる・・・というお話。『E.T.』や『未知との遭遇』をはじめとしたSF映画のパロディ満載のコメディで、特にスピルバーグ作品に対しては熱いオマージュが捧げられている。『未知との遭遇』のラストでラコーム博士(フランソワ・トリュフォー)がサングラスをかける場面がちゃんと再現されているのには泣けた。

 
 2人組がアメリカの田舎を旅する話だから、『イージー・ライダー』のパロディまで登場する。焚火を囲んでハッパを廻しながら、イギリス人オタクと宇宙人が語り合うというのが何ともおかしかった。さしずめ無垢な2人に知識を授ける宇宙人はジャック・ニコルソンか。 


 60年前に地球に不時着して以来政府機関で囚われていた宇宙人はすっかりアメリカナイズされている。主人公2人組はおのぼりさん状態でオドオドしっぱなしなのに対して、宇宙人の方が堂々としているのが実におかしい。地球人/異星人、アメリカ/イギリス、オタク/一般人、といった様々な対比でのカルチャー・ギャップがきちんと描かれているのがポイントだ。なので、パロディの元ネタが分からなくても、コメディ映画として十分楽しめる。


 脚本・主演はサイモン・ペッグニック・フロストエドガー・ライト監督の快作『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!』の主演コンビだ。ペッグとフロストの仲の良すぎる感じは、何だかタカトシみたいだったなあ。太っちょの方が相方を好きすぎるという。


 同チームの『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!』もそうだったけど、友達と皆でわいわい言いながら見たい愉快な映画であった。SFマインドを持った良質のコメディといえば思い出す『ギャラクシー・クエスト』と二本立てで楽しみたいところ。『スーパー8』との二本立てもアリか。


 冒頭で、コミコンに繰り出す2人組のバックに流れるのはThe Only Onesの「Another Girl, Another Planet」! 個人的には、あれだけでOKな感じであった。



ジ・オンリー・ワンズ

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