Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『アイアンマン』(ジョン・ファヴロー)


『アイアンマン』 IRON MAN


 監督/ジョン・ファヴロー
 脚本/マーク・ファーガス、ホーク・オストビー、アート・マーカム、マット・ハロウェイ
 撮影/マシュー・リバティーク
 音楽/ラミン・ジャヴァディ
 出演/ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジステレンス・ハワードグウィネス・パルトロー
 (2008年・125分・アメリカ)
 

 マーベル・コミックの人気シリーズを実写映画化した『アイアンマン』 (2008年)。劇場公開時は、アイアンマンのデザインが格好悪いなあと思ってスルーしてしまった。 


 主人公は軍事企業の社長で発明家でもあるトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)。最新ミサイルのデモの為アフガニスタンへ赴き、そこでテロリスト集団に囚われてしまう。テロリストに兵器作成を強要されたトニーは、一味の目を盗んでパワードスーツを開発し、見事脱出を果たすが・・・。


 軍事産業の開発者が、自社製品がテロに使用されている現実を目の当たりにして、兵器製造を中止する。パワードスーツで自らテロ撲滅に乗り出す・・・というお話。悪いテロリストをやっつけてお終いではなくて、真の敵は内輪にいるとか、主人公に象徴されるアメリカの盲目的なパワー信仰を皮肉っぽく描いているのがミソ。映画全体としてはテンポも良く、充分楽しめた。お調子者で矛盾だらけの主人公をロバート・ダウニー・Jrがノリノリで演じており、テーマの重さを和らげている。


 気になっていたアイアンマンのデザインについては、危惧していたほどヘンではなかった。最初に無骨な試作品を見せ、次第にグレードアップしていく様子を丹念に見せて行くのと、着用するロバート・ダウニー・Jrの存在感でそれなりに説得力のあるものとなっていた。主人公の趣味(ホットロッド)と重ね合わせるあたりも上手いと思う。あのカラーリングは改造車のセンスなのだ。