- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2012/04/20
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『ホーボー・ウィズ・ショットガン』 HOBO WITH A SHOTGUN
監督/ジェイソン・アイズナー
脚本/ジョン・デイヴィース
撮影/カリム・ハッセン
音楽/ダリウス・ホルバート、アダム・T・バーク、ラス・ハワード三世
出演/ルトガー・ハウアー、グレゴリー・スミス、モリー・ダンズワース、ブライアン・ダウニー
(2011年・86分・アメリカ)
クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの『グラインドハウス』公開時に「フェイク予告編コンテスト」が開催され、そのグランプリ作品を実際に映画化したのが『ホーボー・ウィズ・ショットガン』。監督はこれが長編デビューとなる新人ジェイソン・アイズナー。
ショットガンを手にしたホーボー(流れ者)が、街の無法者たちに闘いを挑む・・・というお話。「グラインドハウス」と言うよりは、70年代にロジャー・コーマン製作で連発されていた復讐アクション(『怒りの山河』とか)を思い出す。ホーボー(ルトガー・ハウアー)が貨物列車に乗って旅をしている冒頭の雰囲気など悪くない。
ところが、本編の演出は大分乱調気味だ。街を牛耳る顔役や警察の腐敗ぶりなど、今時これ?と言いたくなるほど戯画化した描き方。派手な血糊や残酷描写はアクション映画というよりはホラー(スプラッター映画)寄りの感覚。血糊の量は凄いけれど、アクション演出にはまるで新味が無いのも辛いところ。これをして「グラインドハウス」的と言ってしまえばそれまでだけど、あまりに雑な印象だ。正直言って、86分でもまだ「長いなあ」と感じてしまった。
例えば、主人公が芝刈り機を購入しようという夢を語る場面があるならその顛末は描くべきだし、主人公が列車でやって来る場面から始まるなら列車で去る場面で終わる(主人公が死ぬのなら、その意思を継いだヒロインでもいい)べきだと思う。さらに言うならば主人公とヒロインの共闘は最後まで描いて欲しいところだし、敵役はもっと魅力的であるべきだ。そういった語りの基本(「古典性」みたいなもの)が欠落しているから、雑な印象を受けるのではないかなあと思う。残酷描写が多いからだけでなく。コーマン製作の復讐アクションなどはこの辺だけはきちんと踏まえていたように思う。
主演は『ブレードランナー』『レディホーク』『ヒッチャー』のルトガー・ハウアー。『ブレードランナー』のレプリカントよろしく思い入れたっぷりの長台詞を披露する場面もある。ルトガー・ハウアーの貫禄で何とか映画としての体裁を保っているという感じか。