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『バレエ・カンパニー』THE COMPANY
監督/ロバート・アルトマン
脚本/バーバラ・ターナー
撮影/アンドリュー・ダン
音楽/ヴァン・ダイク・パークス
出演/ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ
(2003年・122分・アメリカ/ドイツ)
ロバート・アルトマン監督『バレエ・カンパニー』見る。
シカゴに本拠地を置く名門バレエ・カンパニーを舞台に、ダンサーたちの人間模様をドキュメンタリー・タッチで描く。ネーヴ・キャンベル、ジェームズ・フランコ、マルコム・マクドウェルら俳優たちが、本物のダンサーたちに混じって群像劇を形作っている。バレエ団の内幕、ダンサーたちの本音、素晴らしいパフォーマンスを見事に1本の映画に纏め上げている。いわゆるドキュメンタリー・タッチをここまで自然に使いこなす演出は驚くべきものだ。本作をしてドラマ性が薄いという批判もあろうが、充分ドラマティックだと思う。ヒロインと恋人の場面の洗練された演出など素晴らしいではないか。場面ごとに「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の様々なカバー曲(コステロ、チェット・ベイカー・・・)で繋いで行くなど、アルトマン翁お洒落ですよ。70年代のゴツゴツした作品群とはまた一味違った流麗な演出が堪能できる。
バレエ団の内幕も容赦なく描かれる。厳しい上下関係。経営状態。芸術監督ミスターA(マルコム・マクドウェル)が振付師に「3つのことを忘れないでくれ。予算、予算、予算だ」と言う場面には笑った。ダンサーたちの苦闘。怪我。金欠で共同生活を余儀なくされる若手団員たち。しかし、生々しい現実が描かれているからといって、全く不快な印象はない。ヒロインが怪我で舞台を途中降板するラストですら、どこか晴れやかな印象だ。舞台芸術に賭けるダンサーたちに注ぐアルトマンの温かい眼差しのなせる業なのだろうと思う。
長いリボンを使ったタイトルバックのパフォーマンス、クライマックスのカラフルな動物の衣装に身を包んだファンタジックなパフォーマンスなど、バレエ場面はどれも楽しい。特に嵐が近づく野外ステージでの場面は、ドキュメントとドラマが自然に交錯するアルトマン演出の真骨頂であろう。
ヒロインを演じるのは『スクリーム』シリーズでブレイクしたネーヴ・キャンベル。本作はかつてバレエ・ダンサーを志していたという彼女自身の企画で、アルトマンを指名したのも彼女だという。ダンスシーンは吹替えなしで見事なパフォーマンスを見せている。彼女はちょっとゴスっぽいところが魅力で、本作でも黒の私服姿がとても似合っている。恋人役のジェームズ・フランコは脇役ながらキュートな存在感を放つ。バレエ団の芸術監督を演じるマルコム・マクドウェルも上手い。マルコムはアルトマンの『ザ・プレイヤー』にも出ていたっけ。
音楽はヴァン・ダイク・パークス。音楽はヴァン・ダイク・パークス。嬉しくて思わず2回書いちゃったけど。アルトマンとは『ポパイ』以来2度目の顔合わせだ。『バレエ・カンパニー』ではいわゆる劇伴は一切流れないし、パフォーマンスの場面には様々な既成曲が使われているようで、どれがヴァン・ダイクの曲かなあと思っていたら、クライマックスに登場!青い蛇やシマウマ、赤い猿などが登場するカラフルなステージに流れるのは紛れも無いヴァン・ダイクのサウンドだ。サントラ欲しいなあ。