Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『メカニック』(マイケル・ウィナー)


『メカニック』 THE MECHANIC


 監督/マイケル・ウィナー
 脚本/ルイス・ジョン・カリーノ
 撮影/リチャード・H・クライン
 音楽/ジェリー・フィールディング
 出演/チャールズ・ブロンソンジャン=マイケル・ヴィンセント、キーナン・ウィン、ジル・アイアランド
 (1972年・100分・アメリカ)


 TSUTAYAの名作発掘コーナーに、チャールズ・ブロンソン主演の70年代アクション映画『メカニック』が登場。


 主人公はある組織の指令で仕事を請け負う殺し屋ビショップ(チャールズ・ブロンソン)。ビショップは自分が標的とした仲間の息子(ジャン=マイケル・ヴィンセント)をプロの殺し屋として育て上げてゆくが、やがて師弟対決の時が来て・・・というお話。殺し屋の孤独な暮らしぶりと業界の非情な掟を描いた作品で、イタリアの『殺しのテクニック』や我が国の『殺しの烙印』等と比べて見るのも面白い。


 主演は我らがチャールズ・ブロンソンブロンソンの堂々たる存在感でアクション映画としての面白さは保証されたようなものだ。寡黙なプロの仕事人という基本的な役柄はいつもと同じなんだけど、本作ではちょっと神経症的な演技を見せるのが面白い。垂れた前髪をかき上げる仕草が印象的だ。


 共演は『ビッグ・ウェンズデー』『摩天楼ブルース』等70年代には若手スターとして人気があったジャン=マイケル・ヴィンセントブロンソンの愛妻ジル・アイアランドも主人公馴染みの娼婦役でワンシーン出演。


 監督は『チャトズ・ランド』『狼よさらば』等々、ブロンソンとの名コンビで知られるイギリス出身のマイケル・ウィナー。アクション場面はキビキビしていて見応えがあるし、いつもビターな味わいがあるのがいい。本作も人物造形にひねった面白さがある。撮影は『絞殺魔』『ザ・ファミリー』『マンディンゴ』等リチャード・フライシャー作品を手掛けているリチャード・H・クライン。音楽は70年代アクションを数多く手掛けているジェリー・フィールディング