Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『アンソニーのハッピー・モーテル』(ウェス・アンダーソン)


『アンソニーのハッピー・モーテル』 BOTTLE ROCKET


 監督/ウェス・アンダーソン
 脚本/ウェス・アンダーソンオーウェン・C・ウィルソン
 撮影/ロバート・D・イェーマン
 音楽/マーク・マザースボウ
 出演/ルーク・ウィルソンオーウェン・ウィルソン、ネッド・ダウド、ジェームズ・カーン
 (1996年・94分・アメリカ)


 気がつくと昔(60〜70年代)の映画ばかり見ている。たまには最近の映画も見なければと思い、ウェス・アンダーソン監督の初期作品『アンソニーのハッピー・モーテル』見る。ってそんなに最近の映画でもなかったか。
 

 精神療養施設から退院したアンソニールーク・ウィルソン)は、友人のディグナン(オーウェン・ウィルソン)に引きずられて強盗稼業に足を踏み込んでしまう。逃亡先のモーテルの客室係と恋に落ち、一度は足を洗ったアンソニーだったが、ディグナンとの友情から再び悪の道へ。造園業者を装う大物犯罪者ヘンリー(ジェームズ・カーン)の強盗計画に参加するが・・・。


 押し付けがましくないユーモア、軽妙な人物スケッチ、既成音楽の新鮮な使い方、先の読めない展開など、ウェス・アンダーソン監督の基本的な持ち味は既に完成している。映像スタイルはまだ決まりきらない感じだけど、個人的には本作や『天才マックスの世界』くらいザックリしている方が好ましいなあ。その後の作品は凝りすぎていて少々息苦しい印象を受けるのだ。音楽ネタでは、本作では唐突にラヴが流れて度肝を抜かれた。『ダージリン急行』ではキンクスが大音量で流れて泣かされたっけ。この監督の音楽の使い方はいつもこちらのツボを突いてくる。


 本作には共同製作としてL・M・キット・カーソンがクレジットされていた。L・M・キット・カーソンとは、トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ2』、悪名高い『勝手にしやがれ』のリメイク『ブレスレス』等の脚本家である。アメリカン・ニューシネマ女優カレン・ブラックの元夫であり、『パリ、テキサス』の名子役ハンター・カーソンの父親だったりする。


フォーエヴァー・チェンジズ(デラックス・エディション

フォーエヴァー・チェンジズ(デラックス・エディション