Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『荒野の一つ星』(カルヴィン・ジャクソン・パジェット)

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『荒野の一つ星』 WANTED


 監督/カルヴィン・ジャクソン・パジェット
 脚本/フェルナンド・ディ・レオ
 撮影/トニ・セッチ
 音楽/ジャンニ・フェリオ
 出演/ジュリアーノ・ジェンマテレサ・ギンペラ、セルジュ・マルカン、ジア・サンドリ、ネロ・パッツァフィーニ
 (1967年・95分・イタリア) 


 ジュリアーノ・ジェンマ主演のマカロニウエスタン『荒野の一つ星』見る。TSUTAYAの新作コーナーにひょっこり置いてあった。新作じゃないんだけど全然。1967年ってオレが生まれた年だよ。
 

 ゴールド市長と手下のロイド一味が牛耳る町に、新保安官ライアン(ジュリアーノ・ジェンマ)が赴任してきた。金の護送任務を果たし英雄となったライアンであったが、保安官の椅子を狙うロイドの罠にはまって殺人犯の汚名を着せられてしまった。ライアンはお尋ね者として追われながら、ロイド一味の悪事の証拠を捜すのだが・・・。


 監督はジェンマと『荒野の1ドル銀貨』『さいはての用心棒』で組んだカルヴィン・ジャクソン・パジェット。いかにもマカロニという荒唐無稽さを売り物にせず、小道具を巧みに生かした非常に手堅い演出を見せる監督だ。本作にも武装した幌馬車や、組み合わせでよその牧場の烙印を捏造する焼きゴテといった印象的な小道具が出てくる。実はカルヴィン・ジャクソン・パジェットとはイタリアン・ホラーの名作『生血(なまち)を吸う女』で知られるジョルジオ・フェローニの変名だったりする。この2人が同一人物と知った時は驚いたなあ。


 音楽はジャンニ・フェリオ。本作の原題でもある「WANTED!」と連呼するテーマ曲が痛快だ。脚本は後にイタリアン・アクションの監督として名を上げるフェルナンド・ディ・レオ。


 主演は日本でも人気が高かったマカロニ・スター、ジュリアーノ・ジェンマ。ミケーレ・ルーポ監督と組んだコミカルなウエスタンよりも、個人的にはカルヴィン・ジャクソン・パジェットやトニーノ・ヴァレリィと組んだシリアス路線の方が好きだ。脇役では、神父役でネロ・パッツァフィーニが出ている。パッツァフィーニは悪役が多く、たいていは途中で殺されてしまうのだが、本作は主人公を助けるいい役なんでちょっと嬉しかった。


 本作が製作された1967年といえばマカロニウエスタンの最盛期。好漢ジェンマのスター性とカルヴィン・ジャクソン・パジェットの手堅い演出を得て、ブーム真っ只中の勢いを感じさせる好篇に仕上がっている。本作の撮影は冬場だったらしく、カットによって雪が積もっていたり、登場人物の吐く息が白かったりするのが何とも不思議な感じ。