6月は仕事の合間をぬってひたすらに映画を見まくりました。簡単に感想を書き記しておきます。
『火事だよ!カワイ子ちゃん』(ミロシュ・フォアマン) 1967年 チェコ
『カッコーの巣の上で』『アマデウス』で知られるミロス・フォアマン監督が、母国チェコ=スロヴァキア時代に撮ったコメディ。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど高い評価を得たが、当時のチェコ政府からは体制を批判していると非難され国内上映禁止処分になったという。田舎の消防団が主催するパーティーで行なわれた「ミス消防団コンテスト」の顛末を描くドタバタコメディだ。消防団員のオヤジたち、ミスコンにノミネートされる女の子たち、火事で自宅を失う老人、皆ドキュメンタリーのごとく生々しい存在感を放っている。
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『パパ/ずれてるゥ!』(ミロシュ・フォアマン) 1971年 アメリカ
『火事だよ!カワイ子ちゃん』を最後に母国を逃れたミロシュ・フォアマンが、渡米して撮ったのが『パパ/ずれてるゥ!』。一人娘の家出に大騒ぎする中年夫婦を描き、世代間の断絶を描く辛辣なコメディだ。音楽の使い方やカットバックを多用した編集などとても面白い。ミロシュ・フォアマンはこういった軽妙な風刺コメディが得意な人だったんだな。「子供たちの直面する問題を体感しなければならない」と、親たちがマリファナを試してみる場面には笑ったなあ。『火事だよ!カワイ子ちゃん』同様に、本作も俳優たちの顔つきがとても生々しい。
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『生き残るヤツ』(イヴァン・パッサー) 1971年 アメリカ
ミロシュ・フォアマンのチェコ時代の作品に脚本や助監督として参加していたイヴァン・パッサー(イヴァン・パセル)が渡米して撮った犯罪映画。田舎の某古本屋のワゴンコーナーでDVDが300円で投げ売りされていたのを発見した。聞いた事も無いメーカーで画質も劣悪だったが、ずっと気になっていた映画なので見れただけでも嬉しかった。この映画はとても気に入ったので、後日詳しく感想を書き記すつもり。
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『ハッカビーズ』(デヴィッド・O・ラッセル) 2004年 アメリカ
快作『スリー・キングス』(湾岸戦争版『戦略大作戦』)のデヴィッド・O・ラッセル監督による異色コメディ。環境保護団体の青年活動家(ジェイソン・シュワルツマン)と大手スーパーマーケットのエリート社員(ジュード・ロウ)の対立を中心に、様々な悩みを抱えた登場人物たちが右往左往する。今時ハリウッド・メジャーでよくこの妙なシナリオにゴーサインが出たもんだなあと思う。実存的問題を専門とする「哲学探偵」(演じるのはダスティン・ホフマンとリリー・トムリン)なんてのが出てくるのだ。
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『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』(マイケル・マン) 1981年 アメリカ
TSUTAYAの名作発掘コーナーにマイケル・マンの劇場デビュー作『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』が登場。久しぶりに見直したけど、いい映画ですよこれ。一匹狼の金庫破り(ジェームズ・カーン)のプロに徹した生き様を描く犯罪映画の逸品。雨に濡れた夜景や派手な火花を散らす金庫破り場面のファンタジックな映像と、タイトでリアルなガン・アクションが同居するのがマイケル・マンの美学か。本作はマンの最高傑作ではないかなあ。必見です。音楽はタンジェリン・ドリーム。
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『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(マシュー・ヴォーン) 2011年 アメリカ
X-MEN誕生の秘話を描いたシリーズ最新作。キャラクターの感情とアクションが上手く噛み合っていて、シリーズ中で一番面白いのではないかと思う。若き日のプロフェッサーXとマグニートーの出会いと決別にはBLファンも反応しそうな気が。終盤に米軍艦隊の艦長役でマイケル・アイアンサイドが出ていた。
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『ドリトル先生不思議な旅』(リチャード・フライシャー) 1967年 アメリカ
動物と話ができるドリトル先生(レックス・ハリソン)の冒険を描くミュージカル仕立てのファンタジー大作。子供の頃原作を愛読していたので、ピンクの巨大カタツムリや前と後に首のある珍獣オシツオサレツがちゃんと映像化されていて懐かしかった。ちなみに、フライシャーのフィルモグラフィーを見てみるとSF映画の名作『ミクロの決死圏』(1966年)があって、次が本作『ドリトル先生不思議な旅』(1967年)。この流れはまあ分かるとしても、この次が猟奇殺人事件を扱った実録もの『絞殺魔』(1968年)、その次がチェ・ゲバラを描いた擬似ドキュメンタリー・タッチの『ゲバラ!』(1969年)、と続くのだから凄まじい。
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『世にも怪奇な物語』(ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ) 1967年 フランス/イタリア
エドガー・アラン・ポーの怪奇小説をオールスター・キャストで映画化した豪華なオムニバス映画。久々に再見してみて、やはりフェリーニのエピソードのヘンさ加減が突出していると思った。完全にイッちゃってるテレンス・スタンプの演技も凄い。フェリーニのエピソードに比べると、ロジェ・ヴァディムは所詮雰囲気モノ、ルイ・マルはお勉強良く出来ました、という感じ。
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『ミニミニ大作戦』(ピーター・コリンソン) 1969年 イギリス/アメリカ
マイケル・ケイン主演の英国製60年代アクション。邦題は子供向けみたいな感じだけど、内容はちゃんとした大人向け(原題はTHE ITALIAN JOB イタリアの仕事)。ピーター・イエーツの『ホット・ロック』なんかに共通するスッとぼけた雰囲気が面白い。クィンシー・ジョーンズの音楽が最高で、主題歌を一緒に口ずさみたくなる。ぶつ切りのラストもなかなか味わい深い。
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という訳で、続きはまた明日。