昨日の続き。6月に見た映画の感想です。
『怪獣ゴルゴ』(ユージン・ローリー) 1959年 イギリス
『原子怪獣現わる』のユージン・ローリー監督による怪獣映画。海底火山が爆発し、深海より出現した怪獣がロンドンを襲う・・・。ゴルゴはダイナメーションではなくて、洋画にしては珍しい着ぐるみ怪獣。全体に雰囲気が良いし、ロンドン市街地で繰り広げられる破壊のスペクタクルはなかなかの迫力だ。いやあトクサツ映画は楽しいなあ。前にも書いたけど、いつか東京スカイツリーが怪獣に襲われるトクサツ映画も作られるのだろうか。
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『気まぐれな唇』(ホン・サンス) 2002年 韓国
等身大の恋愛模様を淡々と描いた小品。お話の規模、素っ気無い演技、自然な撮影など、過剰な韓流メロドラマとは異なり、まるでフランス映画のごとき洗練されたタッチである。それが韓国の田舎町の焼肉屋や居酒屋を舞台に展開するのでとても新鮮な感じを受けた。性描写が妙に生々しいのも面白い。主人公を惑わす2人の女優(チュ・サンミ、イェ・ジウォン)はどちらも魅力的だ。
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『血を吸うカメラ』(マイケル・パウエル) 1960年 イギリス
伝説のカルト・ホラーを久々に再見。恐怖に慄く女性の表情を撮影することに執着するカメラマンを描く。原題はPEEPING TOM(覗き屋)で、それを『血を吸うカメラ』とは素晴らしい邦題のセンスだ。内容にもベストマッチ。映画における「見る/見られる」(撮る/撮られる)という関係性についての深い考察と、ある種のフィルターを通さなくては他者と交流を持てない男の哀しみをきちんと描き、数多あるホラー映画とは一線を画している。素晴らしい。
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『バッド・ルーテナント』(ヴェルナー・ヘルツォーク) 2009年 アメリカ
アベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』を、ヴェルナー・ヘルツォーク監督がリメイク。主演はニコラス・ケイジ。オーバーアクトすれすれの演技は、まるで「悪徳警官コント」みたいな珍妙な雰囲気だ。前半は何だかなあと思ってみていたが、主人公が不運と幸運の綱渡りを繰り返す後半はニコラス・ケイジの個性が不思議とハマってくる。ラストシーンの宙吊りの感覚など悪くない。舞台をハリケーン・カトリーナで荒廃したニューオーリンズに設定しているのも面白いと思った。
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『夕陽に向って走れ』(エイブラハム・ポロンスキー) 1969年 アメリカ
「赤狩り」で潜伏を余儀なくされたエイブラハム・ポロンスキーが、復帰後に放った西部劇。TELL THEM WILLIE BOY IS HEREというメインタイトルを見ただけで予感はあったが、これは紛れも無い傑作である。恋人の父親を殺したインディアンの青年の逃亡を描くシンプル極まりない物語。アメリカン・ニューシネマの頃の作品(邦題もそれっぽい)だが、ありがちな湿った挫折感は皆無で、自分の流儀を曲げられない男の生き様を描いた力強い映画である。主人公ウィリー・ボーイ(ロバート・ブレイク)に寄り添っていた語りが、終盤でふっと追っ手の保安官(ロバート・レッドフォード)に切り替わるあたりの呼吸は素晴らしい。撮影(コンラッド・L・ホール)、音楽(デイヴ・グルーシン)も一級品。必見。
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『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(トッド・フィリップス) 2009年 アメリカ
独身最後の夜にラスベガスへと繰り出した花婿と悪友たち。羽目を外して浮かれ騒ぎ、翌朝目が覚めると花婿の姿が消えていた。しかもホテルの部屋には見知らぬ赤ちゃんと、○○が・・・。酷い二日酔い(ハングオーバー)で記憶を無くした3人の男たちが繰り広げる大騒動を描くコメディ映画。ミステリー・タッチの語り口を取り入れている所がミソで、次第に明らかになってゆく馬鹿馬鹿しい真実の数々には爆笑した。面白かったんだけど、徹底的に男目線で描かれたこの映画、女性はどう思うんだろうなあ。
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