- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 1998/07/25
- メディア: DVD
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
『顔のない眼』 LES YEUX SANS VISAGE
監督/ジョルジュ・フランジュ
脚本/ピエール・ボワロー、トーマス・ナルスジャック、ジャン・ルドン、クロード・ソーテ
撮影/ユージェン・シュフタン
音楽/モーリス・ジャール
出演/ピエール・ブラッスール、アリダ・ヴァリ、エディット・スコブ、ジュリエット・メニエル、シャルル・ブラヴェット
(1959年・90分・フランス/イタリア)
フレンチ・ホラー映画の古典的名作『顔のない眼』を久々に再見。故郷の友人たちと飲んでいると、何故か時折『顔のない眼』が話題に上るので見直したくなったのだ。(何故か話題に上るもう一本は『グライド・イン・ブルー』)
交通事故で顔面に大怪我を負った娘のために、若い女性をさらっては顔の皮膚をはがし移植手術を行う医師(ピエール・ブラッスール)とその助手(アリダ・ヴァリ)を描く。
超常現象が起きるような話ではないけれど、博士が住む古い洋館の佇まい、実験用に飼われた大量の犬、冷たい質感の手術シーン、白い仮面からのぞく娘の眼など、全編に満載された怪奇映画ムードが素晴らしい。モノクロ映像も効果的だ。手術シーンには、数多のホラー映画で残酷シーンなど見慣れているはずなのに、思わず目を背けたくなるような緊迫感がある。
地位も名誉もある高名な医師が娘を思うあまり凶行に及び怪物化してゆく・・・というお話かと思いきや、白い仮面をかぶり悲嘆に暮れているばかりの娘が次第に怪物に見えてくるという辺りも面白い。
医師にさらわれた女性が、手術で顔の皮膚を剥がされてしまう。そして川に女性の水死体が上がった・・・という省略場面に展開するかと思いきや、ベッドで女性が目を覚ます場面になってギョっとした。女性は顔面に巻かれた包帯で自らに起きた異変に気がつく・・・。あの場面は怖かった(というか嫌だった)なあ。本作で一番怖いシーンかも。
主人公の医師を演じるのはピエール・ブラッスール。あの体型は何かヘンだ。あご髭と妙に厚ぼったいコート姿が、まるで常に変装しているかのような違和感がある。助手を演じるアリダ・ヴァリの妙に生々しい演技も印象的。この二人の死にざまも凄まじい。
ちなみにジョルジュ・フランジュはゲテ物監督ではなくて、かのアンリ・ラングロアとともにパリのシネマテーク設立に関わった偉い人なのだ。