Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン)

GUARDIANS OF THE GALAXY

GUARDIANS OF THE GALAXY


 息苦しくて死にそうになってきたので、近所のシネコンへ逃避。レイトショーでジェームズ・ガン監督『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』鑑賞。


 宇宙のはぐれ者チームが、無限の力を持つパワー・ストーン「オーブ」を巡る戦いに挑む・・・というお話。ポスターの珍妙な面々を見て、てっきりパロディ路線のB級映画と思い込んでいたら、マーベル・コミック原作、ウォルト・ディズニー・スタジオが配給という超メジャー作品なのでありました。


 監督は『悪魔の毒々モンスター』のトロマ社出身、『ゾンビ』のリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本を担当し、侵略SFものの快(怪)作『スリザー』、裏『キック・アス』こと『スーパー!』を撮ったジェームズ・ガン。『スーパー!』がとても好きだったので、メジャー・フィールドでどんな映画を見せてくれるか期待して劇場へ向かいました。


 ううむ、これは何というか、とても懐かしい感じのする映画でありました。70年代のヒットソングが大量に流れたり、『フットルース』やケヴィン・ベーコンが話題に上るから・・・ではありません。異形のものたちが銀河をまたに駆けて大冒険、そう、久々に「スペ・オペ」(スペース・オペラ)という言葉を思い出しましたよ!スペ・オペ!本作の主人公たちは、地球生まれのトレジャー・ハンター、賞金稼ぎのアライグマ、大木型のヒューマノイド、緑色の肌の女戦士、復讐に燃える巨漢、と全く統一感のない顔ぶれ。それを言うならば、かつて僕らが愛したキャプテン・フューチャーだって、ぴったりスーツのヒーロー、透明ケースに入った脳味噌、ゴム人間、ごっついロボット、とまあかなりおかしな面々でありました。そんな個性的なはぐれ者たちが、対立を繰り返しながら強い絆を持つ仲間になってゆく、というオーソドックスな展開が楽しい。『ワイルドバンチ』よろしく、メンバーが横並びに歩くキメのショットもあります。


 脇役陣がなかなか豪華で、マイケル・ルーカーグレッグ・ヘンリーらガン作品常連に加え、ベニチオ・デル・トログレン・クローズ、ジョン・C・ライリーといったこの種のジャンル(SF・ファンタジー)であまり見かけない顔ぶれも。スペ・オペとジョン・C・ライリーといえば、『ブギーナイツ』で自称ハン・ソロ似を演じていたのを思い出しておかしかった。盗賊団のリーダーを演じるコワモテのマイケル・ルーカーは本作で一番格好いい役どころ。


 主人公にもうひとつ何か「必殺技」があればなあ、とか物足りなさもある訳ですが、個人的には充分楽しめました。久々の劇場鑑賞だったので、かなり点が甘くなっているというのもあるかもしれませんが。さておき、ガンちゃんにはこれからも期待です。


(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 Guardians of the Galaxy 監督/ジェームズ・ガン 脚本/ジェームズ・ガン、ニコール・パールマン、クリス・マッコイ 撮影/ベン・デイヴィス 音楽/タイラー・ベイツ 出演/クリス・プラットゾーイ・サルダナ、デビッド・バウティスタ、ブラッドレイ・クーパー、ヴィン・ディーゼルリー・ペイスマイケル・ルーカー 2014年 122分 アメリカ)