Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『インサイド・ヘッド』(ピート・ドクター)

 ピクサー/ディズニーの新作アニメーション『インサイド・ヘッド』鑑賞。近所のシネコンTOHOシネマズ市川にて。先日も書きましたが、初めて家族3人で見に行った(娘にとっては初めて映画館で見た)記念の映画になりました。


 ミネソタの田舎町に住む女の子ライリーの頭の中には、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの5つの感情がいます。彼らは頭の中の司令室から、ライリーの健やかな成長を願って日々奮闘していました。父親の仕事の関係で見知らぬ都会へと引っ越したことから、ライリーの心は不安定な状態に陥ります。ふとした事からヨロコビとカナシミが司令室を離れてしまい、ライリーの頭の中は大混乱に陥ってしまうのですが・・・。


 監督は『モンスターズ・インク』『カールじいさんの空飛ぶ家』のピート・ドクター。ピクサー社の作品は、いつもシナリオが良く練られていて無駄なところがありません。本作もまた例外ではなく、子供はもちろん、大人も(もしかして大人の方が)楽しめる映画に仕上がっていると思います。親しみやすいキャラクターたちが織り成すコミカルなストーリーの中から、「悲しみの感情にはどんな意味があるのか」「その人らしさというのは、何で出来ているのか」というシンプルでかつ重要なテーマがちゃんと伝わってきます。加えて今回はアート・アニメーションの面白さもふんだんに味わえるのが良かったなあ。かなり実験的な映像もあり、それに合わせてマイケル・ジアッキーノも音楽もバラエティー豊かで楽しめます。


 主人公ライリーの頭の中には、感情の司令室があって、そこにはヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの5つの感情がいます。司令室からはライリーの頭の中に広がる世界が見渡せ、そこには「家族の島」「友情の島」「ホッケーの島」「好きな食べ物の島」「おふざけの島」という風に、ライリーの個性を形作っている島が見えます。また、日々の体験から蓄積されていく膨大な記憶の保管庫と、忘れられた記憶の廃棄場があります。


 先述した通り、『インサイド・ヘッド』は娘と一緒に見ました。そんなこともあって、見ている間ずっと娘のことを考えていましたね。娘の頭の中にはどんな島があるだろう、「家族の島」「おふざけの島」「好きな食べ物の島」はあるな、「友情の島」はこれからだな、とか。その内に、ライリーの「ホッケーの島」に相当するような、何か熱中できる「島」が出来上がっていくといいなあ、とか。


 一方で、自分の頭の中についても考えましたね。「家族の島」「友情の島」「映画の島」、他にどんな島があるのか。子供の頃は「おふざけの島」もあったはずだが、今はもう無いなあとか。記憶の保管庫はきっとスカスカで、忘れられた記憶の廃棄場の方は処理し切れないくらい一杯になってるのだろうな、とか。


 ライリーの頭の中ではヨロコビがリーダーですが、父親はイカリ、母親はカナシミがリーダーを務めていて、この辺でもキャラクターの性格を表現していて面白い。自分はどうだろう。ヨロコビじゃないのは間違いない。根の暗い東北人なんで、きっとカナシミだろうなあ。もしかすると、「どうせ俺なんて・・・」ヒガミなんて奴がいるかもしれませんね。



(『インサイド・ヘッド』INSIDE OUT 監督/ピート・ドクター 脚本/ピート・ドクター、メグ・レフォーヴ、ジョシュ・クーリー 音楽/マイケル・ジアッキーノ 出演(声)/エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、ケイトリン・ディアス、カイル・マクラクランダイアン・レイン (吹替)/竹内結子大竹しのぶ、伊集院茉衣、花輪英司田中敦子佐藤二朗 2015年 94分 アメリカ)



インサイド・ヘッド オリジナル・サウンドトラック

インサイド・ヘッド オリジナル・サウンドトラック