第二次世界大戦後期に行われた連合軍の「マーケット・ガーデン作戦」を描いた戦争大作『遠すぎた橋』(1977年)鑑賞。大昔にTVの吹替洋画劇場で見て以来、久々の再見です。今回は原語版にて。
出演者は超豪華で、ショーン・コネリー、マイケル・ケイン、ジーン・ハックマン、エリオット・グールド、アンソニー・ホプキンス、ダーク・ボガード、ジェームズ・カーン、ライアン・オニール、ロバート・レッドフォード、エドワード・フォックス、マクシミリアン・シェル、ハーディ・クリューガー、ローレンス・オリヴィエ、といった米英独の著名な俳優が次々登場します。唯一の女性キャラクターとして出演しているのはベルイマン作品で知られるリヴ・ウルマンです。
連合軍の「マーケット・ガーデン作戦」は、空からはパラシュート部隊、陸からは戦車部隊を投入して、オランダからドイツにかけての5つの橋を占拠し、ベルリンへ侵攻しようという作戦。これって大失敗に終わった作戦なのですね。アッテンボロー監督は戦争活劇を撮ろうなんて気は全く無いようで、軍上層部の無謀な作戦によって、前線の兵士と巻き込まれた民間人が悲惨な目に遭う姿が延々映し出されるだけで、見ていて気が滅入るばかり。空挺部隊がパラシュート降下する場面に戦争スペクタクルの迫力を感じられたくらいで、個人的には非常に平板で退屈な映画だなあと思いました。作戦の細部や5つの橋を巡る地理関係などがきちんと描かれていないので、実録ものとしての面白さもそんなに感じられなかったなあ。戦災に巻き込まれた民間人(医師とその家族)の姿で終わることから、我が国の『激動の昭和史 沖縄決戦』などをふと連想しましたが、岡本喜八作品に漲る活劇としての迫力と反戦の強い意志を思えば、物量は格段に違えど『遠すぎた橋』はいかにも魅力の乏しい映画だなあと思います。戦争映画ファンの評価はまた違うのかもしれませんが。
以前見た時はそんなに悪い印象もなかったのですが、きっと自分も子供だったので、有名スターが出てくるだけで喜んで見ていたのかもしれません。もしやTVの時間枠に合わせてカットされて多少テンポが良くなっていたのと、芸達者な声優陣の演技によってオリジナルよりも面白くなっていたのかもしれません。っていうかきっとそうだな。調べてみると、ロバート・レッドフォード=広川太一郎、ジェームズ・カーン=青野武、リヴ・ウルマン=武藤礼子、マクシミリアン・シェル=家弓家正、ハーディ・クリューガー=内海賢二、エドワード・フォックス=羽佐間道夫、アンソニー・ホプキンス=石田太郎、といった錚々たる顔ぶれです。
ところで、ハーディ・クリューガーって左とん平に似てませんかね。出てくる度に「ヘイ・ユウ・ブルース」とか頭の中で鳴り出して、気になって気になって困りました。もの凄くどうでもいい話ですが・・・。
(『遠すぎた橋』A BRIDGE TOO FAR 監督/リチャード・アッテンボロー、原作/コーネリアス・ライアン、脚本/ウィリアム・ゴールドマン、撮影/ジェフリー・アンスワース、音楽/ジョン・アディソン 出演/ダーク・ボガード、ショーン・コネリー、マイケル・ケイン、ジーン・ハックマン、エリオット・グールド、アンソニー・ホプキンス、ジェームズ・カーン、ライアン・オニール、ロバート・レッドフォード、エドワード・フォックス、マクシミリアン・シェル、ハーディ・クリューガー、ローレンス・オリヴィエ、リヴ・ウルマン 1977年 175分 イギリス/フランス)
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