Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『昼顔』(ルイス・ブニュエル)

 ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』再見。ヒロインは若い外科医(ジャン・ソレル)の妻セヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。彼女は冷感症で、優しい夫を愛していながら夫の欲望に応えられない不満と不安に苛まれている。ふとしたことから上流階級の婦人たちが客を取る娼館で娼婦として働き始めたセヴリーヌは、やくざ者に気に入られたことから事件に巻き込まれていく・・・。


 『昼顔』はブニュエル+ドヌーブのコンビによるその筋では超有名な作品です。シャン、シャン、シャンという馬車の鈴の音から始まり、文芸映画のような性愛映画のような幻想映画のような犯罪映画のような変幻自在なブニュエルの手つきに翻弄されているうちにエンド・マーク。噂に違わぬ面白さでありました。なんだけど、これ自分が10〜20代の頃に見たら絶対に面白いと思わなかっただろうなあという気もします。


 出演はカトリーヌ・ドヌーヴミシェル・ピッコリ、フランソワーズ・ファビアン、マーシャ・メリル他。マーシャ・メリルってどっかで見たなあと思ったら、そうかゴダールの『恋人のいる時間』か。硬質な美貌のドヌーブは役柄にぴったり。


 で、本作には続編があるのですね。マノエル・ド・オリヴェイラ監督『夜顔』 (2006年)。カトリーヌ・ドヌーヴが演じたヒロインの役は、『狂気の愛』『セリーヌとジュリーは舟でゆく』『北の橋』といったジャック・リヴェット作品で知られるビュル・オジェが演じているようです。しかし『昼顔』の40年を経ての続編って、どんな映画なんだか全く想像出来ないなあ。見てみたいような、見たくないような・・・。


(『昼顔』BELLE DE JOUR 監督/ルイス・ブニュエル 原作/ジョセフ・ケッセル 脚本/ジャン=クロード・カリエールルイス・ブニュエル 撮影/サッシャ・ヴィエルニ 出演/カトリーヌ・ドヌーヴジャン・ソレル、ジュヌヴィエーヴ・パージュ、ミシェル・ピッコリ、フランソワーズ・ファビアン、マーシャ・メリル 1967年 100分 フランス/イタリア)


昼顔 Blu-ray

昼顔 Blu-ray