Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『エクスペンダブルズ』三部作

特攻大作戦 [DVD]

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 シルベスター・スタローン主演のアクション映画『エクスペンダブルズ』三部作について。見たのは昨年なんですが、感想を書き記しておきます。


 シリーズ第1作目『エクスペンダブルズ』(2010年)。これは「絶対に見なければいけない映画」という意識があって、それまで2度トライしていました。ですがどうしても上手くノレなくて、2度とも途中で挫折していました。「そういう映画なのだ」と分かって見ているはずなのに、何だか雑過ぎるなあと。結局、TV放映された時に3度目のトライでようやく最後まで見終えることが出来ました。ちなみにテレ東「午後のロードショー」、マッスル特集(笑)にて放映された日本語吹替版です。

 
 スタローン、ジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンミッキー・ロークブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガー・・・80年代以降のアクションスターが集結した「男祭り」企画。悪役はエリック・ロバーツ(『暴走機関車』)。自ら「消耗品」軍団を名乗り、娯楽に徹したスタローンの意気や良し。これはもしや2000年代の『特攻大作戦』になるかもと期待していたのですが、残念ながらオルドリッチのような骨太な活劇ではなかったですね。自分が欲しているアクション映画とは別種の映画だったようです。現役感バリバリのジェット・リージェイソン・ステイサムのキレの良さに比べて、他はどうも楽屋オチというか業界の内輪ネタで自分たちが楽しんでるみたいなユルいノリがいただけなかったなあ。いくらかでも好意的に感じられたのは、TVの吹替洋画劇場で見たおかげのような気がします。つまり、1時間半の放映時間に合わせて無駄な場面をカットされ、達者な声優に吹き替えられて、もしかしてオリジナル版よりも面白くなってるかもしれない、という。


(『エクスペンダブルズ』The Expendables 監督/シルヴェスター・スタローン 脚本/デイヴ・カラーハン、シルヴェスター・スタローン 撮影/ジェフリー・L・キンボール 音楽/ブライアン・タイラー 出演/シルヴェスター・スタローンジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンランディ・クートゥアテリー・クルーズミッキー・ローク、ジゼル・イティエ、エリック・ロバーツブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガー 2010年 103分 アメリカ)




 続いて『エクスペンダブルズ2』(2012年)。これまたテレ東「午後のロードショー」マッスル特集(笑)にて放映された日本語吹替版。前作のヒットを受けて、同様の企画ながらスケールアップしており、シルヴェスター・スタローンジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガーといった前作のメンバーに加えて、チャック・ノリスジャン=クロード・ヴァン・ダムも参戦。モリコーネのメロディとともに現れるチャック・ノリス、男が全て殺されるか拉致されて女だけとなった村(先日書いた『荒野の七人真昼の決闘』と同じ)、とマカロニ風味も。まあまあ面白かったんですが、業界の内輪ネタで自分たちが楽しんでるみたいなノリは相変わらず。プロの傭兵部隊のはずなのに、空港の銃撃戦とか一般人巻き込んで大騒ぎし過ぎなのも気になりました。


(『エクスペンダブルズ2』The Expendables 2 監督/サイモン・ウェスト 脚本/シルヴェスター・スタローン、リチャード・ウェンク 撮影/シェリー・ジョンソン 音楽/ブライアン・タイラー 出演/シルヴェスター・スタローンジェイソン・ステイサムジェット・リードルフ・ラングレンチャック・ノリステリー・クルーズランディ・クートゥア、ユー・ナン、リアム・ヘムズワースジャン=クロード・ヴァン・ダムブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガー 2012年 103分 アメリカ)




 で、シリーズ3作目の『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)。これは映画館で見ました。1作目2作目が気に入らなかったんなら見なきゃいいじゃんて話なんですが。ちょうど「何でもいいからとにかく映画館で映画を見ないと死ぬ」という思いで頭がおかしくなっている時期だったこともあって、近所のシネコンのレイトショーに飛び込みました。それはさておき。


 3作目となる本作、映画としてはシリーズで一番面白いと感じました。後半で廃ビルを舞台に延々と展開する派手なアクションなど、空間を上手く生かした演出で悪くない。アクション演出だけではなく、本作が映画として面白くなった要因はスタローンのやりたい事が明確に伝わってくるからだと思います。すでに彼は『ロッキー』シリーズ、『ランボー』シリーズで、ヒーローが次第に年齢を経てそれでもなお闘う姿をスクリーンに刻印してきたわけで、集団アクションである本作の中でも同様のテーマを展開しています。『スペース・カウボーイ』のイーストウッドのように若者を切って捨てることはせず、きちんと若手にも活躍の見せ場を設け、最後は老いも若きも戦友同士の友情を謳い上げます。仲間たちとの連帯が非常にウェットに描かれているので、この辺は好みが別れるところかもしれません。個人的にはちょっとやりすぎというか、ジェット・リーシュワちゃんの描写などギャグとわかっていても受け入れ難い気色悪さを感じてしまったなあ。


 今回は前作までのメンバーに加え、メル・ギブソンハリソン・フォードアントニオ・バンデラスウェズリー・スナイプス、と超メジャーな俳優が参戦。何でバンデラスがと思えば、スタローンとは『暗殺者』で共演経験済みでした。一番下っ端の変わり者の役なのがおかしい。もうそんな年齢じゃないと思うんだけど。ウェズリー・スナイプスもスタローンとは『デモリションマン』で共演済みか。キメキメの『ブレイド』とは違ってコメディリリーフに近い役柄でした。久々のメル・ギブは敵役として登場、溌剌としていてなかなか良かった。それに比べるとハリソン・フォードの生気の無い表情は不気味なほどでした。新しい『スター・ウォーズ』でまたハン・ソロ演じるみたいだけど大丈夫か。


(『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』 THE EXPENDABLES 3 監督/パトリック・ヒューズ 脚本/シルヴェスター・スタローン、クレイトン・ローゼンバーガー、カトリン・ベネディクト 撮影/ピーター・メンジース・Jr 音楽/ブライアン・タイラー 出演/シルヴェスター・スタローンジェイソン・ステイサムアントニオ・バンデラスウェズリー・スナイプスドルフ・ラングレンメル・ギブソンハリソン・フォードアーノルド・シュワルツェネッガー 2014年 126分 アメリカ)