Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『贋作』と『宇宙ヴァンパイアー』が!


宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)


 最近本屋に行って驚いたことに、パトリシア・ハイスミスの『贋作』(河出文庫)とコリン・ウィルソンの『宇宙ヴァンパイアー』(新潮社)が復刊されていました!


 『贋作』は『太陽がいっぱい』に続くトム・リプリー・シリーズ第2作目で、ハイスミスお得意の「身代わり」テーマがサスペンスたっぷりに展開する逸品です。先に映画化されたハイスミスの初期作品『キャロル』が好評だったので復刊となったようです。トム・リプリー・シリーズでは『贋作』だけが手元に無かったのでこれはありがたい。


 コリン・ウィルソンの『宇宙ヴァンパイアー』は、言わずと知れたトビー・フーパーの怪作『スペースバンパイア』の原作本です。巨大な宇宙難破船から回収され、地球に持ち込まれた人間そっくりの生命体。それは人間の生命エネルギーを吸い取り、人体から人体へと乗り移って殺人を重ねる宇宙の吸血鬼だった・・・というお話。ゴシックホラーの定番である吸血鬼の世界を侵略SFのスタイルで追及した異色作です。意外や柴田元幸村上春樹による「村上柴田翻訳堂」の一冊として復刊されました。手元には以前住んでいた仙台の古本屋にて300円で購入したボロボロのやつがありますが、新訳で読み返してみようかなと思います。まさか宇宙ヴァンパイアーが「やれやれ」とか言わないだろうなあ。そういえば春樹好みの井戸の挿話があったような気もするが妄想か。