- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/10/28
- メディア: 文庫
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「村上春樹雑文集」読了。題名の通り、結婚式のお祝い文から、ジャズや翻訳についてのエッセイ、フィッツジェラルドやカーヴァー、キングやチャンドラーといった好きな作家について、自作の解説、文学賞受賞の挨拶(エルサレム賞受賞の挨拶「壁と卵」含む)等々、硬軟取り混ぜて氏の様々な文章が掲載されています。(テーマの)重い文章と軽めの文章のバランスが絶妙で、とても読みやすい一冊でした。この辺のバランス感覚の良さが、長く人気を保っている秘訣なんだろうなあと思いましたね。何度も繰り返し出てくるのが、「物語の力」というテーマで、これはとても切実なポイントだと思います。長年の読者としては、氏の作品全てが好きな訳ではありませんが、「物語の力」を信じて執筆を続ける姿勢には共感を覚えます。終盤に収録された「物語の善きサイクル」という一章だけでも一読の価値あり。