Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『映画の生体解剖−恐怖と恍惚のシネマガイド−』(稲生平太郎、高橋洋)

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~


 稲生平太郎高橋洋共著による『映画の生体解剖-恐怖と恍惚のシネマガイド-』(2014年)について。「放電」「手術台」「水」「パラノイア感覚」「姉妹」「フィルムの中のフィルム」といったテーマで稲生平太郎高橋洋両氏が熱く語り合う。帯のコピーに曰く「本書は映画という「何か」を見てしまった2人による衝撃の「目撃報告」である」。

 ラング、ヒッチコックデ・パルマ、クローネンバーグといった比較的有名な監督から、聞いたこともないZ級作品まで、映画評論、映画史、映画ガイド、そのどれにも区分けされない視点と語り口、ジャンルを横断し奔流のごとく溢れ出す作品名固有名詞には夢中になって読み耽ってしまった。ある種のアンテナを持つ人には、まだ見ぬ魅惑の映画がこんなにあるのだなあと幸福な気分になれる事間違いなしの一冊だ。購入して以来、繰り返し繰り返し読み返している。最近ヲタ友諸君と情報交換する機会がなかなかないので、そんな飢えをも癒してくれる大事な1冊なのだ。