Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『バニー・レークは行方不明』(オットー・プレミンジャー)

バニー・レークは行方不明 [DVD]

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 オットー・プレミンジャー監督作品をもう1本。町山智浩氏の名著『トラウマ映画館』でも紹介されていた『バニー・レークは行方不明』(1965年)。


 画面がビリビリと切り裂かれるようなタイトル(デザインは巨匠ソウル・バス)から、全編に不穏な雰囲気が充満したサスペンス映画の逸品だ。幼稚園に預けた娘が失踪するが、誰も娘を知らないという。果たして娘はどこに消えたのか・・・。そもそも本当に娘はいたのか?というポイントからヒロイン(キャロル・リンレー)が周囲に追い詰められていくお話だが、ヒロインが狂気の淵を彷徨うような(ロマン・ポランスキー的な)異常神経ぶりはあんまり感じられず、とにかく全編ハイテンションなのがプレミンジャー調か。オチ(犯人)がわかっても一向に画面のテンションが落ちないのが凄いなあと思う。主人公が警部と話すパブのTVではザ・ゾンビーズが演奏している。TSUTAYAの発掘良品コーナーの棚に並んでいるので、未見の方は要チェックだ。


(『バニー・レークは行方不明』 Bunny Lake Is Missing 監督/オットー・プレミンジャー 脚本/ジョン・モーティマー、ペネロープ・モーティマー 原作/イヴリン・パイパー 撮影/デニス・クープ 音楽/ポール・グラス タイトルデザイン/ソウル・バス 出演/キャロル・リンレー、キア・デュリアローレンス・オリヴィエ、アンナ・マッシー、ノエル・カワード、マーティタ・ハント、ザ・ゾンビーズ 1965年 107分 イギリス)


バニー・レークは行方不明 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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