Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『バンパイアの惑星』(マリオ・バーヴァ) 

 マリオ・バーヴァをもう1本、『バンパイアの惑星』(1965年)について。『エイリアン』の元ネタの一本として知られているホラー風味のSF映画。見ると納得、なるほど『エイリアン』の元ネタかと。救助信号で未知の惑星に呼び寄せられるとか、巨人の異星人の死骸が出てくるところなどそのまんまだ。


 映画全体としては現在の目で見ると少々テンポがかったるいが、独特なデザインのコスチューム(宇宙服)やダークな画調が妙な雰囲気を醸し出していて、捨て難い魅力を放っている。死んだはずの隊員が甦る場面など照明効果で恐怖を煽る演出にはバーヴァらしさも感じられる。俳優たちのルックスのせいか、アダルトな雰囲気が漂っているのも新鮮だった。地球に向かうラストはご愛嬌。我が国の『吸血鬼ゴケミドロ』を思い出した。


 脚本に『巨大アメーバの惑星』(1959年)や『デス・レース2000年』(1975年)の原作で知られるイブ・メルキオールが参加しているのもチェックポイントか。


(『バンパイアの惑星』 TERRORE NELLO SPAZIO 監督/マリオ・バーヴァ 脚本/イブ・メルキオール、ルイス・M・ヘイワード、カリスト・コスリッチ、アントニオ・ロマン、アルベルト・ベヴィラクア、マリオ・バーヴァ、ラファエル・J・サルビア 撮影/アントニオ・リナルディ 音楽/ジーノ・マリヌッツィ・Jr、アントニオ・プレッツ・オルカ 出演/バリー・サリヴァン、ノーマ・ベンゲル、エンジェル・アランダ、エヴィ・マランディ、フェルナンド・ヴィレナ 1965年・86分・イタリア/スペイン)