Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020』(東京都現代美術館)

 

 今日は娘とお出掛け。木場公園をしばらく散策した後、東京都現代美術館へ。現在行われている展覧会は娘にはまだ難しそうだったので、MOTコレクション展の方を鑑賞。

 

 1階の展示は『歩く、赴く、移動する 1923→2020』というタイトルで、関東大震災直後に上京した画家が被災地を歩き描いたスケッチに始まり、フィールドワークをテーマにした作品が並ぶ。3階の展示は『特集展示 横尾忠則―水のように』というタイトルで横尾忠則と彼に縁の深いアーティストたちの作品が展示されていた。

 

 特に良かったのはサンドロ・キア『メランコリックなキャンプ』、ジェニファー・バートレット『テーブルの上の鳥』辺り。娘は一室の壁いっぱいに展示されたサム・フランシスの巨大な抽象画が気に入った様子だった。

 

サンドロ・キア『メランコリックなキャンプ』

 

サム・フランシスの巨大な抽象画

 

 今回特に気になったアーティストは福田尚代さん。文庫本が切り取られて文章が露出し、緑を添えられて階段にもベンチにも盆栽にも見える不思議なオブジェと化していた。現代美術ならではの目だけでなく脳髄を刺激する面白さ。繰り返し読んだ大切な本を加工する事で、更に深く物語と本そのものに入り込もうという試み(なのかな)。そのアプローチにはピンと来るものがあった。良く見ると中にはバラード『結晶世界』、レム『ソラリス』、ハインライン夏への扉』などSF小説も。プロフィールを見ると自分と同じ世代の方だった。

 

 

 展示を見た後は、館内にあるカフェでお茶。その後はまた木場公園を通って帰途に就く。雲一つない快晴で、1月の割には暖かく過ごしやすい気候だった。娘と一緒にのんびり過ごせて、アートにも触れられたし、久しぶりに穏やかな心持になった。この平和な気持ちがずっと続くといいなと思う。