Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『彼らは廃馬を撃つ』(ホレス・マッコイ)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)


 ホレス・マッコイ『彼らは廃馬を撃つ』They Shoot Horses, Don't They? (1935年)読了。ずっと読みたいと思っていたところ、白水Uブックス「海外小説永遠の本棚」シリーズより復刊。ありがたや。
 
 舞台は1930年代、大恐慌時代のアメリカ、ハリウッド。一攫千金を夢見て、マラソン・ダンス大会に出場する食いつめ者たちを描く苦いお話で、昼夜を問わずペアで踊り続けるマラソン・ダンス大会(本当にあったらしい)の様子、賞金目当てに参加した訳ありの男女たちの葛藤が詳細に描かれている。期待通りの素晴らしい小説だった。


 語り手であるロバートは、ハリウッドで夢破れた売れない女優のグロリアとペアを組み大会に参加し、次第に正気を失ってゆく。やがて物語は夢の終わりを突きつけるようなやるせない結末を迎える。『彼らは廃馬を撃つ』という奇妙なタイトルの意味は、最後に明らかになる。ロバートとグロリアが交わす最後の会話を読んでハッとした。そこにはこんな言葉が出てきたからだ。


「神様のピンチヒッター」


 あ、これって。矢作俊彦だよね。ホレス・マッコイの小説から引用されたフレーズだったのか。『彼らは廃馬を撃つ』を読むまですっかり忘れてたが、『神様のピンチヒッター』という映画があったっけ。映画じゃなくてオリジナルビデオ作品か。監督・原作・脚本、矢作俊彦。原作は未読だが、映像版はリリース当時に見た。このフレーズと物語がどうリンクしていたか記憶が定かではないので、見直してみたいなあ。


 シドニー・ポラックによる映画化作品『ひとりぼっちの青春』も見てみたい。キャストを調べたら、ジェーン・フォンダマイケル・サラザンスザンナ・ヨークブルース・ダーン、あっギグ・ヤングが出てるなあ。ニューシネマ本には必ず出てくるタイトルなんで、こちらもいつか必ず。


ひとりぼっちの青春 [DVD]

ひとりぼっちの青春 [DVD]


神様のピンチヒッター [DVD]

神様のピンチヒッター [DVD]