Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(ジョン・ウォーターズ)


 何か映画作りのことが書いてある本を読みたくて、『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(1995年)を久々に再読。翻訳は柳下毅一郎氏。カルト映画『ピンク・フラミンゴ』で知られるジョン・ウォーターズ監督がユーモアたっぷりに語る自らの生い立ち、自主映画作りの舞台裏、敬愛する映画監督(ラス・メイヤーハーシェル・ゴードン・ルイス!)へのインタビュー、裁判傍聴マニアの話等々、隅から隅まで面白い。


 中でも、ウォーターズと仲間たち(ドリームランダーズ)の映画製作に関するエピソードの数々には爆笑&号泣。ああ映画作りって楽しいよなあ、(どんなに変な奴らでも)仲間っていいよなあ、と。盟友ディヴァインとの出会いについて、ウォーターズ曰く「他人に悪影響を与えるのにはもううんざりしていて、そろそろ自分にも悪影響を与えてくれるような人に会いたかったのだ」と。悪趣味についてのこんな記述にもシビれる。「ぼくにとっては、悪趣味がエンターティメントだ。だけど忘れちゃならない。いい悪趣味と悪い悪趣味は別物なのだ。悪趣味を理解できるのは、いい趣味の持ち主だけだ。」これは本当にその通りだと思う。


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