Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『恐怖の構造』(平山夢明) 

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)


 小説『独白するユニバーサル横メルカトル』『或るろくでなしの死』や実話系怪談で知られる「恐怖書きのプロ」平山夢明が、映画や怪談話などを例に挙げながら恐怖の構造についてわかりやすく解き明かしてゆく。氏の小説が不快さや怖さを超えて、何故あんなにも胸を打つのか、その理由を垣間見ることが出来る興味深い一冊であった。


 「恐怖」より「不安」のほうが恐ろしい存在なのではないか、という指摘には大いに納得。『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』をホラー映画として語る切り口も面白い。『エクソシスト』撮影現場におけるフリードキンの狂いっぷりや、ポランスキーの『テナント』の粗筋など、まるで氏の小説世界と地続きのようなインパクトがあったなあ。「人間のかたちをした、人間ではないモノを怪物と呼ぶ」とか痺れるフレーズも多数。


 ちなみに、手元にあるのは千葉某書店で購入したサイン本。平山氏のサインの横に書き添えられた言葉は「恐怖で元気」。恐怖で元気って・・・。


 ところで、冗談としか思えなかった『ダイナー』映画化は本当に進んでいるようだ。どうしよう。



サラダでげんき (こどものとも傑作集)

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ダイナー (ポプラ文庫)

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