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バート・レイノルズ追悼として、ジョセフ・サージェント監督『白熱』(1973年)鑑賞。アメリカ南部の田舎町を舞台に、弟を殺された男が町を牛耳る悪徳保安官と密造酒組織に復讐する、というお話。
バート・レイノルズ演じる主人公ゲイターは弟の死の真相を探るため、悪徳保安官(ネット・ビーティ)が支配する田舎町へとやってくる。本作のレイノルズは、密造酒の流通に関わる男たちの仲間に入るため陽気に振舞いながら、心の中に暗い復讐心を隠しているという役どころ。レイノルズは『トランザム7000』に代表されるようなコミカルなイメージが強いが、本作やマカロニウエスタン『さすらいのガンマン』、『脱出』、『ロンゲスト・ヤード』等でのひげなしシリアス演技も意外に良い。むっつりした顔で珍しく悪役を演じるネッド・ビーティ、密造酒作りの元締めR・G・アームストロング、ジェニファー・ビリングスリー、ダイアン・ラッドら田舎の女たち、ボー・ホプキンス、マット・クラーク(どことなくスティーヴ・ブシェミみたい)ら田舎の男たち・・・。脇役たちも隅々まで個性的。
舞台となる南部の町の気候がリアルに伝わってくるような映像(登場人物たちは皆汗を滴らせている)、個性的な登場人物たちのさばき方、重量感のあるアクション、とさすが名作『サブウェイ・パニック』のジョセフ・サージェント監督だ。夕陽に照らされたボートで「処刑」が行われる冒頭の場面、雑草がぼうぼう生えた田舎道でのカーチェイス、主人公が匿われる「未婚の母の家」の場面、等々、印象的な場面がたくさんあった。密造酒の製造過程や流通の様子が丁寧に描かれているのも面白い。それまでのシリアスな積み重ねをひっくり返すような軽妙な幕切れも洒落ている。いやあ面白かった。
(『白熱』 WHITE LIGHTNING 監督/ジョセフ・サージェント 脚本/ウィリアム・ノートン 撮影/エドワード・ロッソン 音楽/チャールズ・バーンスタイン出演/バート・レイノルズ、ネッド・ビーティ、ジェニファー・ビリングスリー、ボー・ホプキンス、マット・クラーク、ローラ・ダーン、ダイアン・ラッド、R・G・アームストロング 1973年 102分 アメリカ)
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