赤瀬川原平『散歩の収穫』(2010年)読了。表題の通り、東京の下町散歩の写真+短いエッセイ。軽めの読み物だけど、仕事明けの疲れた頭には丁度良い塩梅でした。
スマホの普及で今やデジカメひとり一台持ち歩いているようなもので、Twitterには街歩きの写真が溢れています。しかしそこは赤瀬川氏、凝り過ぎず、かつ平凡じゃない絶妙のライン、短いエッセイもさすがの切れ味で一味違います。気に入ったのは「密告者」(お稲荷様を背後から捉えると怯えているように見える)、「犬の失速」(広場のベンチにのめり込むように配置された犬の像)。
さすが『超芸術トマソン』の赤瀬川氏だけに、「街と渓谷」「階段を下りる裸体」「ナイアガラ」「残されたカケラ」「杜撰の迫力」などトマソン案件も押さえていました。
ガード下のガレージに置かれたガラクタを捉えた「中年探偵団」にはこんな文章が。 「他人の目にはゴミだが、本人には超宝物。夏休みの宿題は、もうない。」