Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(クリストファー・マッカリー)

 

 クリストファー・マッカリー監督『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』鑑賞。イオンシネマ妙典にて。トム・クルーズ主演の人気スパイ・アクションシリーズ第7弾。前作『フォールアウト』同様、派手なアクションのつるべ打ち。サービス精神には感心するけど、どこか散漫な印象で今ひとつ力が入らなかった。終盤の列車のくだりでようやくノレた感じ。

 

 列車の場面では、変装してのキー受け渡し、列車と車とバイクの疾走、空から侵入を試みるトム、と複数の見せ場が交錯しサスペンスを盛り上げる。トムの馬鹿馬鹿しい登場の仕方や、車両が一両ずつ落ちていく場面などまるでスラップスティック・コメディみたいで楽しかった。

 

 監督はシリーズ連投となったクリストファー。マッカリーといえば『誘拐犯』(2000年)で見せた見事なアクション演出が印象深い。プロ同士の闘いであることを印象付ける見せ場の数々、路地をけん制し合いながらじりじり進むカーチェイス、ペキンパー・オマージュ(なんだけどスローモーションは使わない)銃撃戦、ジェームズ・カーンの使い方、等々。本作は映画の規模が大きすぎて、『誘拐犯』の頃の良さが薄れているような気はする。

 

 また、前作から「世界を救うヒーロー、イーサン・ハント(というより)トム・クルーズと女たち」みたいな構図が色濃くなっているのが気になる。トムのワンマン映画なので当然そうなっていくのかもしれないが、本作は主要キャラの死や新キャラの座りの悪さに女性キャラクターの扱いの雑さを感じてしまった。この辺、後編はどうなるのか気になるところ。