Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『チェンジリング』(ピーター・メダック)

 

 急に思い出して、ピーター・メダック監督『チェンジリング』(1979年)再見。正統派の幽霊屋敷ものホラー。改めてこれは名作だなと思いましたね。主人公が初老の男性なので絵面は地味この上ないけど、演じているのがジョージ・C・スコットだけに霊現象へのリアクションのひとつひとつに異様な説得力がある。何しろ反骨の男スコットなので単に怯えるだけでなく、お屋敷の秘密を探るため相手が政治家だろうと何だろうとグイグイ行くのがスコットらしい。幽霊を𠮟りつけたりして。

 

 ホラー映画の語り口としては、霊現象は主人公の妄想か?というお決まりの脇道に逸れず、最初から霊現象はあるものとしてどんどんお話が進んでいくのが小気味良かった。お屋敷と幽霊に関する謎解き要素も面白い。棚で隠された上階への階段、車椅子、オルゴール、毎朝聞こえる衝撃音の正体、そしてタイトルの意味など、次第に明らかになる細部もちゃんと怖い。

 

 ちなみに本作の日本版イメージ・ソングはヒカシューの怪曲『パイク』だったはず。合ってるような合ってないような。当時劇場鑑賞はしていないので分からないが、まさかエンディングで流れたりはしなかっただろうな。

 

 ピーター・メダックといえば、悪女もの『蜘蛛女』(1993年)が印象的。他にはナターシャ・ヘンストリッジ主演のSFホラー『スピーシーズ2』(1998年)。近年では「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズの2シーズンの『ワシントン・コード』(2007年)がかなりグロテスクなブラック・コメディで、健在ぶりを見せてくれた。

 

 

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