Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『シャドウ・イン・クラウド』(ロザンヌ・リャン)

 

 アマプラにて、ロザンヌ・リャン監督『シャドウ・イン・クラウド』(2020年)鑑賞。

 第二次大戦中、秘密任務をもって米軍の爆撃機に乗り込んだ女性(クロエ・グレース・モレッツ)の闘いを描くホラー・アクションの快作。前半は爆撃機の狭い銃座に閉じ込められたクロエの一人芝居で展開。銃座から脱出しての後半は荒唐無稽なアクションが爆発。上映期間83分、B級の鏡みたいな割り切りと効率の良さで大いに楽しめた。

 

 『キック・アス』のヒット・ガールことクロエ・グレース・モレッツは二の腕も逞しく成長、軍隊の男社会、グレムリン、日本軍と次々襲い来る脅威を蹴散らしての大熱演。前半の一人芝居も見事。戦いを終えたクロエ越しに燃える爆撃機が見えるショットには痺れた。

 

 飛行機を墜落させる魔物グレムリンといえば、『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983年)のジョージ・ミラーが監督したエピソードを思い出す。『シャドウ・イン・クラウド』の脚本は、『トワイライトゾーン/超次元の体験』に因縁深いジョン・ランディスの息子マックス。

 

 本作は全編の8割ほどが飛行中の爆撃機の機内で展開するので、高所を意識させる演出が随所にみられる。自分は宮崎アニメ(特に『天空の城ラピュタ』)ですら駄目なくらいの高所恐怖症なんで、見ていてかなり緊張してしまった。「機密書類が入った鞄」が翼に引っかかってぶらぶらしてる場面など勘弁してくれーと思いましたね。その後の馬鹿々々しい展開なんて、主人公が転落する訳はないとわかっちゃいるけど見てられなかったなあ。