Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『バレット』(ウォルター・ヒル)

 ウォルター・ヒル監督の近作『バレット』(2012年)について。見たの大分前なんですが、感想を書き記しておきます。


 監督は久々のウォルター・ヒル、主演はシルベスター・スタローン。『エクスペンタブルズ』などでいまだ気を吐くスタローンですが、一方ヒルは隠居状態なので、何やら70〜80年代の亡霊が甦ったような感覚があります。中身もスタローン演じるベテランの殺し屋とアジア系の若い刑事が組んで悪徳刑事と対決するという典型的なバディもの。雨に濡れた歩道に映るネオンサイン、ギターが唸る音楽、クライマックスは斧を手にタイマン勝負、と80年代から変わらぬヒルのタッチを受け入れられるかどうかが評価の分かれ目かもしれません。


 個人的には応援したい気持ちはあるものの(そう、『ラストマン・スタンディング』『デッド・ロック』でとっくに別れを告げたはずなのに)、時代錯誤とまでは言わないまでも、やはりどこか調子外れな印象を受けたなあ。上映時間が短くテンポが良いのはいいけれど、「簡潔な描写」というのとはちょっと違っていて、「描写がやせ細っていて味わいが無い」風になってしまっている。そんなところも相変わらずでありました。


 デビュー作『ストリート・ファイター』から『ザ・ドライバー』『ウォリアーズ』『48時間』『サザン・コンフォート/ブラボー小隊恐怖の脱出』『ロング・ライダース』『ストリート・オブ・ファイヤー』辺りまでは本当に面白くて好きだったのになあ・・・。



(『バレット』BULLET TO THE HEAD 監督/ウォルター・ヒル 脚本/アレサンドロ・キャモン 撮影/ロイド・エイハーン 音楽/スティーヴ・マッツァーロ 出演/シルヴェスター・スタローン、サン・カン、サラ・シャヒアドウェール・アキノエ=アグバエ 91分 2012年 アメリカ)


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