Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

雨の映画といえば

 嫌な天気が続いています。一昨日は早朝に避難勧告のエリアメールで叩き起こされ、慌てて外に出てみたら家の前の道路が冠水していました。幸い出勤時間までには水が退いてくれたんで大事には至りませんでしたが。地域によっては甚大な被害が出ているところもあり、前に住んでた仙台市某所周辺も水浸しになっていたようです。一刻も早い復旧をお祈りします。それにしても、猛暑が続いたと思えば今度は連日大雨って今年は何だか変ですよね。今朝は東京で地震あったし。次第にバラードの世界に近づいているのかと思います。


沈んだ世界 (創元SF文庫)

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 さて。雨の映画と言えば、皆さん何を思い浮かべるでしょうか。土砂降りが印象的な黒澤映画(『羅生門』とか『七人の侍』とか)でしょうか。それとも、酸性雨が降り続く『ブレードランナー』とか。定番『雨に唄えば』でもいいんですが、あの歌を聴くと『時計じかけのオレンジ』の方を思い出してしまうんで、個人的には「雨の映画」というイメージはありません。キューブリックの映画では雨、降ってなかったですよね。


 個人的に「雨の映画」と言えば思い出す作品が2本あります。1本目は『極道黒社会 RAINY DOG』(1997年)。オール台湾ロケで撮影された三池崇史監督のVシネマ。哀川翔田口トモロヲが異国の路地を彷徨います。そして土砂降りの雨。個人的には、三池の膨大なフィルモグラフィーの中でも、1、2を争う傑作だと思います。というか今でも三池の新作を見続けているのは、本作や『日本黒社会/LEY LINES』(1999年)のような熱い作品があるからですね。


(『極道黒社会 RAINY DOG』 監督/三池崇史 脚本/井上誠吾 撮影/李似須 音楽/遠藤浩二 出演/哀川翔、高明駿、田口トモロヲ、陳仙梅、何建賢、李立群 1997年 94分 日本)


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 もう1本は台湾のツァイ・ミンリャン監督の『Hole』(1998年)。延々と雨が降り続く台北の街が舞台。疫病が流行り、隔離地区にあるため退避命令が出ているマンションに暮し続けている男。中途半端な水道工事で床に穴が開いてしまった。その穴を通じて、階下に暮らす女との交流が始まって・・・というお話。始終雨が降り続く陰鬱な映像、古びたマンションの質感、役者の生々しい存在感も凄いんですが、何とこれ、ミュージカルなんですよ。狂ってて最高なんで、未見の方は是非。


(『Hole』洞 監督/ツァイ・ミンリャン 脚本/ツァイ・ミンリャン、ヤン・ピーイン 撮影/リャオ・ペンロン 出演/ヤン・クイメイ、リー・カンション、ミャオ・ティエン、トン・シャンチュ 1998年 93分 台湾/フランス)


HOLE [DVD]

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