Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『哭声/コクソン』(ナ・ホンジン)


 昨年見た映画の感想です。韓国ホラー哭声/コクソン』。


 韓国の田舎の村(コクソン)で発生した連続殺人事件。ツイストの効いた語り口で、どういうお話なのか予測のつかない展開を見せる。いわゆる田舎ホラー(『悪魔のいけにえ』に代表されるような「田舎は怖い」というジャンル)かと思いきや、最終的には意外に直球の「オカルト映画」に着地。エクソシストと韓国風お祓い描写のミクスチャーがクライマックスで面白い効果を上げていた。主要の登場人物に見習い神父がいたりして、韓国における宗教事情(キリスト教の定着度)はどんな状況なのか興味がわいた。登場人物たちの日常スケッチが巧みなので、父娘のエピソードに思いっきり感情移入した後のバッドエンディングなので後味はかなり悪かったが・・・。


 韓国の映画祭で演技賞をもらったという國村隼はさすがの存在感。ふんどし姿で森を走り回ったり、悪魔メイクをしたり大熱演。恐怖描写に迫力があり、『エクソシスト』から『ゾンビ』まで飲み込んで展開する語り口も面白いし、こんなホラー映画もありだとは思うが、あまりに濃すぎて、ユーロ・ホラーの優雅さがちょっと恋しくなってしまった。


(『哭声/コクソン』 監督・脚本/ナ・ホンジン 撮影/ホン・ギョンピョ 音楽/チャン・ヨンギュ、タルパラン 出演/クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、チョン・ウヒ、キム・ファニ、チャン・ソヨン、國村隼 2016年 156分 韓国)